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歌月十夜128

时间: 2019-11-28    进入日语论坛
核心提示:*s159□アルクェイドの部屋「よし、寝る。一緒に寝る!」目に見えない何かに言い訳するように決意表明をした。まあ、今更アルク
(单词翻译:双击或拖选)
*s159
 
□アルクェイドの部屋
「よし、寝る。一緒に寝る!」
目に見えない何かに言い訳するように決意表明をした。
……まあ、今更アルクェイドと一緒に寝ることに抵抗を感じる仲でもないし、別に迷うことなんてない。なんてゆーか、そういうコトになったらなったでこっちとしては嬉しいワケだし。

「それじゃもうちょっとそっちに行ってくれ。そんな真ん中に陣取られると俺のスペースが———」
ベッドに横になりながらアルクェイドの体を押す。
————と。
 
「……うわ、もう寝てるよコイツ」
よっぽど眠かったのか、アルクェイドはすぅすぅと幸せそうな寝息をたてて眠ってしまっていた。

「……おーい、アルクェイド〜。寝ちゃったのかー」
耳元で囁いてみるが、一向に起きる気配はない。
「……なんだ。ホントにただ一緒に寝てほしいってコトだったんだ」
唐突に、さっきまで不純なコトを期待していた自分が恥ずかしくなる。
「……まあ、悪い夢を見るから側にいてほしいっていうのは、うん」
アルクェイドらしくないけど可愛いと思う。
 ……そういうコトなら、予定は違ってしまったけどこうしているのも悪くはないだろう。
子守唄を歌う事はできないけど、自分がいるだけでアルクェイドが安心できるというのならそれで十分だと思う。

「————————」
安らかに眠るアルクェイドの顔を眺めながら、こっちもベッドに背中を預けた。
 
 ……カーテンをすり抜けてくる朝の光が心地よい。
なんとなく付き合いで目を瞑ったあと。
あれだけたっぷりと眠ったくせに、遠野志貴の意識はするすると夢の中へと落ちていった。
 
—————走っていた。
 何の為に走っているのかは解らない。
ただ必死になって走っていた。
片手にはナイフを握って、見たこともない、迷路のように広大な城の中を走っていた。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ———————!」
息があがる。
心臓はこれ以上の運動は不可能だと告げている。
それでも走った。
走らなければ、さっきから付いてきている何かに追いつかれてしまうからだ。

「はぁ、はぁ、はぁ———————あ?」
追いつかれる?
という事は、つまり自分は誰かに追われているという事だろうか。
けれど追われる理由なんて解らない。
なにか決定的なまでに悪いことをした記憶もない。
ただ手にはナイフがあって、俺は理由もなく走っているだけだ。

「ナイフ—————?」
……ああ、そういえばナイフを握っている。
それを持って、決定的なまでに悪いコトをした事がなかったか。
例えば、見知らぬ女を尾行して、そのまま完膚なきまでに殺害してしまった事とか。

「————は———はぁ、はぁ、はぁ—————」
息があがる。
心臓はもう走れないと悲鳴をあげる。
……そう、そういえばこういうのも覚えがあったっけ。
あの時はナイフは持っていなかったしこんな嘘みたいな城の中じゃなかったけど、確かにずっと走っていた。
あれは、なんの為に走っていたのだったか。
逃げなければ殺されると思った。
殺してしまったから殺し返されるのだと確信していた。

けれど、それが誰にだったかだけ、
うまく、思い出せそうになかった。
 
□城
「はぁ———————は」
広い空間に出た。
走りまわっている間に深い所まで来てしまったのか、城の空気は一層暗いものになっている。
 
———この城は、おかしい。
 一つの建物のくせに、まるで生き物のように感情が伝わってくる。
優れた建造物には創造主の理想が宿るというが、この城もその類なのだろうか。
足を踏み入れた時は、ただ静かな城だと感じた。
それが深部に移動するたびに感情の色を増していく。
深い絶望、だろうか。
進めば進むほど、訪れる者を拒絶する暗い感情で壁が塗りたくられているようだった。

そしてこの聖堂。
甲高く響く足音さえ悲鳴のように聞こえて、まるで廃墟の城のようだ。
「はあ———はあ———あ?」
足を止めて呼吸を整えた時、ふと窓らしきものを見つけた。
この聖堂は高い位置にあるのか、窓から地上が覗けるらしい。
「—————しかし」
記憶が正しければ、その窓がある方向は城の最深部の筈だ。
つまり。
「……あの窓は、玉座を監視できる覗き穴」

興味が湧いた。追われている事など忘れた。
玉座というのは城の主の聖域だ。
それを監視する窓とはいかなる物か。
ただでさえおかしいこの城の謎が、その窓に収束されているのだと確信する。

「————————」
足音を響かせて窓へと近づく。
手すりによりかかり、遥か下方の玉座を覗きこんだ。
 
 それは。
「それを見るな、人間」
「——————!」

□城
 背後からの声に振り向いてナイフを構え——�

【ブリュンスタッド】
「————ア、アルクェイド……!?」
ナイフを慌てて下げる。
なぜか長髪、くわえてドレスなんかを着ているアルクェイドはほう、と感心したように口元を緩めた。
【ブリュンスタッド】
「いかにも、この身はブリュンスタッドである。……ふむ、つまらぬ輩と思うたがアレに縁のある人間であったのだな」
静かな、落ちついた瞳でアルクェイドは見つめてくる。

「——————おまえ」
それで、鈍い自分にも理解できた。
目の前にいるアルクェイドは俺の知っているアルクェイドじゃない。
 遠野志貴が知っているアルクェイドは、さっきの——�
「おまえ、誰だ」
「ブリュンスタッドと答えた筈だが。もっともおぬしから見ればアレの悪夢という位置づけなのかもしれぬ。アレは過去も未来も怖れてはおらぬ故、二重に存在するというカタチになってしまってはおるが」

「—————は?」
アルクェイド……じゃないけど、やっぱりアルクェイドのような気がするのでアルクェイド……は、なにやらよく解らない事を言った。
「悪夢って、これが————?」
【ブリュンスタッド】
「解りやすく言えばな。もっともこの身にはそのような具現化はありえぬ。悪夢に呑まれるのはおぬしたちだけであろう。夢魔の力なぞ受けずともこの身はこうして存在する。故に、おぬしはアレの悪夢を見ているのではなく、我らの内に介在しておるだけであろう」
感情のない声で言いながらも、どこか困ったようにアルクェイドは視線を揺らす。

「……よく、解らないんだが。ようするにおまえは俺が知っているアルクェイドじゃないんだな?」
【ブリュンスタッド】
「そうだ。この身に名があるとすれば、それは朱い月であろう。アレはいまだに自らを解放せぬが故、このように留まっているのだろうな」

ドレスを翻してアルクェイドは立ち去っていく。
かつん、かつん、と聖堂に響く足音。

「あ———ちょっ、ちょっと待てよ、俺はこの後どうすればいいんだっての!」
ぴたり、とアルクェイドは足を止める。
【ブリュンスタッド】
「解りきった事を。ここはアレの世界故におぬしの悪夢は存在せぬ。ここがおぬしの悪夢でない以上、目覚める手段は一つだけであろう」
「いや、だからその方法が解らないんだけど」
背中を向けてアルクェイドの肩が上下する。
……長髪のアルクェイドはため息をついたあと、

「————死ぬがよい」
【ブリュンスタッド】

金の瞳で遠野志貴を凝視した。
 
 網の目のように走る光線。
遠野志貴の肉体は、たまご切りにきられたたまごのように解体された。
数にして、実に十八個。
……一個多いあたり、アルクェイドの悪戯心を感じないまでもない。
 
「うわああああああああああああああ!」
たまらずベッドから跳ね起きた。

「はぁー、はぁー、はぁー、……あー」
ちゃんと手足がくっついている事を確認して、ようやくまともな知性が戻ってきた。
「……うわあ、たもったもんじゃなかったな、今のは」
こういうのも興奮冷めやらぬ、というのだろうか。
額に浮かぶ脂汗を拭ってアルクェイドに視線を移す。

「————————————」
「……この。人の気も知らずに平和そうに眠りやがって」
それは、さっきまでの夢が馬鹿らしく思えるぐらい安らかな寝顔だった。
————あの夢の中。
真剣に考えなければならない幾つかの事柄があったというのに、そんな物がどうでもよくなってしまうほど、アルクェイドは幸せそうだ。

「………………ちぇっ」
起こして話を訊くなんてとんでもない。
アルクェイドは眠っている。
他の誰でもない、自分の傍らで幸せそうに眠っている。
それ以外に、今は何が必要だっていうんだろうか?

「———そうだな。暗い話は、またその時に」
ばふっ、ともう一度ベッドに体を預ける。

……目蓋を閉じれば、またあのアルクェイドに会えるだろうか。
もしそんな幸運が働いたとしたら、次こそはもうちょっとぐらい、あのすかしたお姫さまを笑わせてやりたいな、なんて命知らずな事を思ってみた。
 
 そうして眠る。
目覚めればまたいつもの朝に戻っている。
けれど、その狭間。
有り得なかった未来を過ごすように、もう一度だけ彼女と彼女の夢を見る———
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