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歌月十夜130

时间: 2019-11-28    进入日语论坛
核心提示:*s161□喫茶店【アキラ】「はい、でもこの時期はちょうど時間が空いているんです。冬が近くなると何かと忙しくなるんですけど、
(单词翻译:双击或拖选)
*s161
 
□喫茶店
【アキラ】
「はい、でもこの時期はちょうど時間が空いているんです。冬が近くなると何かと忙しくなるんですけど、今は戦士の休息って感じですから」
そう言って、アキラちゃんはストロベリーパイにナイフを入れた。
今日は趣向をかえてクォーターでもハーフでもなく、パイをまるごと一つ注文している。
テーブルの大部分を占める巨大な円形のストロベリーパイは、東南アジアの奥地に咲く花に似ているかもしれない。
たしか肩書きは世界最大の花とかなんとか。……我ながら食欲を削ぐ例えをしてしまった。
【アキラ】
「けど来年からは好きなコトは出来そうにないんです。寮が高等部に移ると三人制になっちゃって、持ち物検査も頻繁に行われて、同好の人とも別部屋になっちゃうだろうし。
……えっと、遠野先輩みたいに成績のいい生徒はノーチェックなんですけど、わたしはとくべつ成績悪いですから」
パクパクと美味しそうにパイを食べながらアキラちゃんは話を続ける。
「………………」
この娘は瀬尾アキラちゃんと言って、秋葉の後輩にあたる女の子だ。
昨年の冬、ちょっとした事件に巻き込まれた時に知り合ったんだけど、それ以来親しくさせてもらっている。
アキラちゃんは遠慮がちで行動的ではないんだけど、根はすごく元気で前向きだ。
そのギャップがなんとも可愛らしい。
なんていうか妹がいたらこんな感じなんだろうな、と思わせてくれる雰囲気が好きで、最近はよく顔を合わせている。
 
———ふうん。妹がいたら、ですか。兄さんにはれっきとした妹が一人いるはずなんですけど?
□喫茶店

「……………う」
なんか、およそ妹らしくない声が聞こえた気がしたけど忘れよう。

【アキラ】
「あの、志貴さん……? さっきから黙っていますけど、おなかの調子が悪いんですか……?」
おどおどと上目遣いでこっちの顔を覗き込んでくるアキラちゃん。
「え———あ、いや、そういう訳じゃないんだ。少しね、考え事してただけ」
【アキラ】
「あ、当てて見せましょうか。ずばり、遠野先輩のコトを考えてたんですね?」
……鋭い。どうして女の子っていうのは、こう勘が鋭いんだろうか。
「—————うん。まあ、半分あたり。よく判ったね、アキラちゃん」
【アキラ】
「はい。だって志貴さん、遠野先輩の事になると困ったような嬉しいような、なんともいえない顔になりますから」
そういうアキラちゃんも嬉しそうに笑みをうかべている。
【アキラ】
「あ、けど当たったのは半分だけなんですよね。……なら、あとの半分が、その」

ごにょごにょと呟いて、アキラちゃんはフォークをぱくりと口に含んで俯く。
「なに。あとの半分がどうしたって?」
【アキラ】
「え……えっと、わたしのことだったらいいなあ、なんて、思っちゃいました」
「ああ、それも当たり。もう半分はアキラちゃんのコト考えてた」

「あ、やっぱりそうですか、そうですよね、そんなコトあるわけ……って、ええーーーーーーーぇ!?」

【アキラ】
 ガタン、と席を立つアキラちゃん。
同時にアーネンエルベ中のお客さんの目がこのテーブルに集まったりする。
「——————————————」
注目の的になって恥ずかしいのか、アキラちゃんは耳まで真っ赤になっている。
「あ————あ、あの———あう————!」
「大丈夫、誰も笑ってないよ。ほら、みんなもう見てないから席に座って落ちつこう」
「は、はい、座ります、わたし!」
 
 ……と。
アキラちゃんは派手にテーブルに膝を打ちつけてしまった。
がしゃん、と倒れたグラスの中身がスカートの裾を濡らす。
【アキラ】
「あぁ—————————!」
声をあげるアキラちゃん。
二度集まるお客さんの視線の束。
……不幸中の幸いだったのは、倒れたグラスの中身が水だった事だろう。
「ご、ごめんなさい志貴さん、ちょっと席を外します……!」

涙声でそう言って、アキラちゃんはトイレへと駆け込んだ。
 
□喫茶店
しばらくしてアキラちゃんは戻ってきた。
照れくさそうに笑って、さっきの事は忘れようと頑張って話をするあたり実にアキラちゃんらしい。
そもそもこの場に自分がいるのだって、アキラちゃんの前向きさに引きずられて強引に連れこまれたようなものだったし。
【アキラ】
「それでですね、その人蒼香さんっていうんですけど、これが遠野先輩とは正反対な人なんです。あ、学内ではどっちかっていうと遠野先輩に似ているんですけど、寮に戻ると一変しちゃって、なんていうんでしょう? ほら、鎖とか光り物とか、色々体につけたがる人」
「光り物って、ネックレスとか宝石とか? 秋葉のヤツ、また変わった友人がいるんだな」
「んー、そうじゃなくてですね、えーっと……」
的確な表現が見つからないのか、悩みながらナイフを動かす。
 慣れた手つきで切り取ったパイをお皿に載っけるアキラちゃん。
テーブルに残ったストロベリーパイは、残り一切れとなっていた。
「あ、おかわり頼もうか。ラズベリーのトルテ、そろそろ出来あがるって話だし」
「え、ほんとですか!? やった、やっぱりアーネンエルベに来たんならラズベリー関係を食べないとうそですよね!」
ぱあ、と顔を輝かすアキラちゃん。
こっちとしても、そう喜んでもらえるとすごく嬉しい。
【アキラ】
「——————あ」
と。一転して、アキラちゃんはしょんぼりと肩をすくめてしまった。
「……あの、やっぱりいいです。おかわり、いりません」
しぶしぶとフォークをテーブルに置いてしまう。お皿に盛られたパイも手を付けていない。
「ん? アキラちゃん、もうお腹一杯?」
「あ——いえ、そうじゃなくて。……あの、わたしばっかり食べちゃってるから、その……」
————ああ、なるほど。
確かに食事が始まってからこっち、こっちは一切れしかパイを食べていなかったっけ。
「こっちの事は気にしないでいいよ。元々小食だから一切れ食べればそれで十分なんだ。それにもう少ししたらお昼ごはんだろ、なら腹八分目にしておかないと」
「う———たった二切れでおなかいっぱいになるんですか、志貴さんは」
「うん。甘いものは好きなんだけどね、あんまり糖分はとれないんだ。そんな訳で自粛してる」
加えて言うなら洋菓子より和菓子のほうが好きなんだけど、それは黙っておこう。
「………………………」
と。
なんか、アキラちゃんはますます落ちこんでしまった。
「わたしも、もういいです。いまおなかいっぱいになっちゃったらお昼ごはん入りませんから」
「そっか。アキラちゃんの食べっぷりってなんか元気いっぱいって感じで好きなんだけど、それじゃ仕方ないか」
【アキラ】
「あ———うわ、そんなふうに言われると恥ずかしくて、嬉しいです」
と、またも一転して嬉しそうに頬を赤くするアキラちゃん。
……しかし、恥ずかしいのに嬉しいというのは矛盾してると思うんだけど……。

それからもう少し話しこんでアーネンエルベを後にした。
結局残された二切れのパイを名残惜しそうに見つめていたアキラちゃん用にラズベリーのトルテを買った。
寮のお友達のお土産に、と手渡すとアキラちゃんは素直に受け取ってくれた。
 
□公園前の街路
そうしていつもの公園。
時刻はそろそろお昼で、公園は休日の正午に相応しい賑わいを見せている。
【アキラ】
「そういえばもうすぐ文化祭なんですよね、志貴さんのところ」
秋葉に聞いたのだろう、アキラちゃんはそんな事を言ってきた。
「そうだよ。うちの学校、進学校だから体育祭より文化祭のが盛りあがるんだ。……そうだな、アキラちゃんも暇があったらおいで。来てくれたら時間の許すかぎり案内するよ」
【アキラ】
「あ……はい、絶対いきますっ!遠野先輩が恐くてもぜっっったい行きますから!」
なんか、妙に気迫のこもった言葉が返ってきた。
「それじゃチケットは送っておくよ。あ、でも案内ができるのは午前中だけになっちゃうかもしれない。そうだな、せっかく来てくれるんだから午後は秋葉に案内してもらうっていうのはどう?」
【アキラ】
「だ、だだ、ダメです、そんな恐ろしいことしないでください〜! 志貴さん、お願いですから遠野先輩には極力内緒でお願いします!」

「……?」
アキラちゃんがそう言うなら、まあ秋葉には訊かれないかぎり黙っていよう。
「っと、そろそろお昼だな」
「……はい、もうお昼なんですね」
さて、この後はどうしたものか。
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