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歌月十夜139

时间: 2019-11-29    进入日语论坛
核心提示:*s172□遠野家屋敷 時南医院って、時南宗玄の病院?別にここんところ調子はいいんだから無理して行く必要はないんだけど。「あ
(单词翻译:双击或拖选)
*s172

□遠野家屋敷
 時南医院って、時南宗玄の病院?
別にここんところ調子はいいんだから無理して行く必要はないんだけど。
「———あ、そういえば近いうちに来いって言われてたっけ」
そう言っていたのは朱鷺恵さんだったっけ。
「……そうだな。どうせやる事がないんならちょっと相談しに行ってみるか」
 
□時南医院
バスに揺られること三十分、およそ病院には見えない時南医院に到着した。
いや、もともとここは一般の外来を受け入れない特別な病院で、その在り方はほとんど闇医だ。表向きは薬剤師として看板を立てているが、それだって訪れる人は少ない。
それじゃあ病院とは呼べないという意見はごもっとも。ま、時南医院は遠野家お抱えの専属医だという話だから、外来の患者さんを診る事はないのだろう。
「遠野ですけど、宗玄のじいさんは暇してますかー?」
インターホンに呼びかける。
印象の薄い家政婦さんが玄関を開けて、道場の方へ案内してくれた。

□時南医院の診察室
【時南】
「おう、ようやく来おったか小僧」
診察室で待つこと数分。
医者にあるまじき格好で時南宗玄が現れた。
「ええ、朱鷺恵さんから伝言を受けたんなら来ないわけにはいかないでしょう。出来れば時南先生と顔を合わすのは月に一度にしたいんですけどね」
「ふん、そりゃあワシの言い分だ。おまえさんのような厄介な患者とははよう縁を切りたいのだが、なにぶんおまえさんの父親とは知らぬ仲ではないのでな。そちらの縁は切るわけにはいかぬだろう」

と、対面に腰を下ろす時南宗玄。
 もう何年もこの人の世話になっている習性というか、特別指示をされなくても何をすべきかは解っている。
シャツを脱いで上半身を裸にする。
「ふん、このところ調子は悪くなかろう」
「はい。おかげさまで健康そのものです」
「たわけ、おまえさんが健康などといったら病院で過労死が続出するわ。足りない物だらけで動いておる身で大口を叩くな」
言いつつ、両脇や背中をベタベタと触ってくる。
「…………ふむっ!」
「ぎゃ——! いた、今の痛かったぞヤブ!」
「当然じゃろう、日ごろの不養生を一発で帳消しにしてやっとるんだ。痛みがなければ有り難みがないではないか」
「……うう、なんだって医者にきて整体じみたコトをされなくちゃいけないんだろう」
「バカモノ、泣き言を言いたいのはワシの方だ。男の体なぞ触っても嬉しくもなんともないわ」
ばきばき、と骨の鳴る音が続く。

□時南医院の診察室
「……ふむ。おまえさん、また何かやったか」
いつもより時間をかけて体の様子を診た後、難しい顔で時南宗玄はそう言った。
「はい? 何かって、別に何もしちゃあいませんが」
「そのわりには体の方が悲鳴をあげとるぞ。おまえさんの体は大抵の無茶には応えられるがな、いかんせん回復力というものがない。人並み外れた運動が続けばな、決壊するように呆気なくおっ死ぬことになる」
「はあ。あまり運動はするなって意味ですか」
「人並みの運動はかかすな。ワシがいっとるのは飛んだり跳ねたりの事だ。……が、そればかりはおまえさんの責任ではないな。かかる火の粉を払うためならばいたしかたない」
パン、と背中を叩いて終わりを告げられた。
「これで終わり? いつもならこの後レントゲンだの採血だのするくせに」
【時南】
「は、中身の方は今のところ大事はないわい。嬢ちゃんに感謝せいよ、あの娘はおまえさんの体をよく理解しておる。医食同源というがな、遠野志貴の身体は有間にいた頃とは段違いに調子が良い」
「ふんだ、言われなくても琥珀さんには感謝してますよ。どこぞのヤブ医者よりよっぽど頼りになりますしね。いっそのコト琥珀さんが専属医になってくれないかって感じです」
「ふん、このエロガッパが。もっとも小僧ではあの嬢ちゃんは手に負えんだろうがな。どこぞの馬鹿者のように飼っているつもりで飼われるコトになりかねん」
 ふふん、と意地の悪い笑みをこぼすところを見ると、この人はうちの親父と仲が悪かったのかもしれない。
「体の方は問題ない。暇があるのならば朱鷺恵に鍼でも打ってもらえばよかろう」
ヤブ医者は診察終了とばかりに席を立つ。
「あ———ちょっとタンマ。一つ相談したい事があるんですが、時南先生」
「うむ? なんじゃ、言ってみい」
「それがですね、実にバカバカしい話なんですけど」
 
 そうして、ここ数日の出来事を話し始めた。
昨日のコトをよく思い出せないというコト。
同じような事を昨日も行っていたような錯覚。
……同じ一日を繰り返しているような違和感を。
□時南医院の診察室
【時南】
「—————ふむ」
最後まで話を聞いて、時南宗玄はことのほか真剣に考え込んでくれた。
「だいたいの話は解った。……そうか、年々悪くなると思っとったが、ついに痴呆にまでかかりおったか小僧」
「……前言撤回。ヤブ医者に相談した俺がバカだった」

椅子から立ちあがって退室しようとする。
「いやいや待て待て。ワシは頭のなかのコトは専門外じゃからな、明確な答えなど返せんだけじゃ。が、それとは別にな、おまえさんの話にはちとひっかかりを覚えたぞ」
 去ろうとしていた足を止める。
「——————ひっかかり?」
【時南】
「そうじゃよ。とりあえずおまえさんが感じている違和感とやらを片付けるとしようか。
まあ、先も言ったとおりワシは頭蓋の中は専門外でな。骨に守られている個所なぞ見えん」
「そうですか。普通、皮膚の下も見えないと思うけど」
「茶化すな。とにかく意見するのならばな、昨日と今日が同じ一日だ、と考えるのは間違っているのではないかな?」
「……間違ってる、ですか?」
「うむ。何故ならおまえさんは昨日のコトを思い出せない。ならばどうやって昨日と今日が“同じ”だったと認識できるのだ?」
「————————」
「ほうれみよ、言葉もなかろう。だいたいおぬしの論でいくのならばな、明日でさえ今日と同じ一日という事になってしまうじゃろうが。
……よいか、おまえさんは前提からしてすでに間違えておるのだ。目覚めれば全て忘れてしまう故、知りもしない昨日を今日と同じ一日だったと錯覚しておるだけの話よ」
「いや、それは———でも」
そう簡単に割りきれる事じゃない。実際忘れているけど、同じ事を以前にもしたという記憶は確かにあるんだから———
「ま、よしんばおまえさんの錯覚が錯覚でなかった場合の答えは一つだろう。つまりな、おまえさんの頭の中では昨日も今日も明日もすべて一つだという事よ。それならば説明はできるじゃろうて」
「……それは、どういう意味ですか」
「鈍いわ小僧。ようするにこの一日がおまえさんの全てだという事よ。目を覚ます事で誕生し、眠りによって死するカゲロウじゃわい。
……まあ無限の転生のようなものかの。それならば過去も現在も未来もなかろうて。言うならばおぬしの全てがこの一日に内包されておるのだからな」
「……それじゃ俺以外の人はどういう理屈で遠野志貴に付き合っているんですか。時南先生も夜になったら死ぬんですか」
「バカモノ、どういう理屈も何もおまえさんの頭の中だといったろう。他に連中にはキチンと明日がある。繰り返しておるのはおまえさんだけで、ワシも朱鷺恵も嬢ちゃんもとっくに明日に去っておるよ。取り残されておるのは遠野志貴だけで、ここにいるワシらはおまえさんが用意した本人に極めて類似……いや、おまえさんにとってはやはり本人そのものの登場人物にすぎないというワケじゃな」
「———————————」
 
 ……何の信憑性もない話。
だがそれは、思い当たる所がありすぎて、逃れえない真実のように思え——�
 
「なんちゃってー! わはは、信じたか未熟者!」
————あぁ?

【時南】
「そんなワケがなかろうよ! その証拠にな、ワシも朱鷺恵もおまえさんと同じようなものじゃわい! 何を隠そう、ワシも昨日のコトをよく思い出せぬ!」
わはは、と楽しげに胸を張る時南宗玄。
妖怪ハッスルじじいここに現る。
「なんかのう、昨日もおまえさんが来た気がするのだが朱鷺恵のヤツはおまえさんは来ていないと言い張るのだ。そのくせ昨日はお互い逆の意見を言い合っていた気がするのだから、おまえさんだけが異常というわけではないわ」
「……おいヤブ医者。本気で殺意を覚えたぞ、俺は」
「ふん、いっぱしの眼をするようになったな。だがまあ、先の意見はあながち間違いではないかも知れぬぞ? なにしろな、その疑問を疑問として思いついたのはおまえさんの話を聞いてからじゃ。ワシら、少なくともワシは解っていながら分かっていなかったようなもの。……そうなるとおまえさんは確かに何か特別なのかもしれぬ」
「———なにそれ。疑問を疑問に思わないって、ほんと?」
「うむ。おまえさんのように不安に思う事がないのだよ。どうやらおぬし、親父の血を強く引いたな。我らには視えぬものが視えるのかもしれぬ」

人には視えないモノが視える。
……そのフレーズは、確かに聞き覚えがある気がするのだが————
「時南先生。それって秋葉も俺と同じだったってコトですか。つまり、遠野の」

【時南】
「うん? いや、ワシが言っておる父親というのは槙久ではない。ワシが言っておるのは七夜黄理というバカモノの事よ」
「————————————」
キリ……? なんだろう、その名前。
聞いた覚えはない筈なのに、生まれた時から深い所に刻まれていたような、そんな感じ。
「アレも視えてはならぬモノが視えていた類でな。もっともヤツのは浄眼とは呼べなんだ。人の思念が靄のように視えるだのと言っておったが、その程度ではあまり役には立たなかっただろうて。
まあ、それでも七夜の当主である以上は当代一の使い手ではあったのだろうが———」
「死んだんですか、その人」
「うむ。転じたモノどもからは蛇蝎の如く厭われた男じゃったが、もとより黄理は人間専門でな。混ざりモノならば敵なしであったが、芯から人間でない化物とは相性が合わぬ。
———化生を縛するは退魔が役目。
故に、七夜が呼ばるるは陰陽の理が通じぬ時のみよ」

「まあ、だからこそ人の恨みを買っていたのだろうがな。今時は化生に呪われるより人に憎まれる方が質が悪い。
かかる火の粉を嫌って自ら隠居はしたが、その時には洗い落とせないほど血を浴びていたのだろうよ。結局、人の手によって自らも血に染まりおった」
□七夜の屋敷
□時南医院の診察室
「……………………………」
おかしい。
そんな聞いた事もない他人の話で、どうしてここまで、吐き気を催すのか。

「話はそれだけですか? それじゃそろそろおいとまします」
【時南】
「そうか。……しかし解せんな。なぜ今になって黄理の話などしたのか。一生墓まで持っていくつもりであったのだが」
むう、と不愉快そうに顔をしかめる。
「なんだ、そんなのもうろくが始まっただけじゃないの? 時南先生、もういい歳だから」
「ほざけ、ワシゃあ少なくともおまえさんよりは長生きするわい」
「あー、そりゃあ否定できないかも」
というか、このじいさんなら孫より長生きしそうだ。
 
□時南医院
「お邪魔しました。また来ますんで、その時もよろしく」
「ああ、次来る時はもう少し気の利いた話をもってこい」
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