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歌月十夜159

时间: 2019-11-29    进入日语论坛
核心提示:*s196□マンション入り口アルクェイドのマンションに着いた。 夕焼けに染められたマンションは何か、特別なモニュメントのよう
(单词翻译:双击或拖选)
*s196
 
□マンション入り口
————アルクェイドのマンションに着いた。
 夕焼けに染められたマンションは何か、特別なモニュメントのように見える。
「……そういえばこんな夕方も今までなかったな」

日が落ちるのは決まって坂道だった。
高いところから遠い落陽を眺めるイメージ。
……あれは自分ではなく、あの子の心象投影だったのかもしれない。
□マンション入り口

……終わりが近づいているのだろう。
あの子の力に穴が開き始めたというか、こうして思い出せる区間が増えてきている。
「————よし」
今を逃したら次の機会はないかもしれない。
この頭が彼女のコトをはっきりと考えられるうちに、彼女をよく知っているヤツに話を訊かなくてはいけない。
 
□アルクェイドの部屋
「アルクェイド、使い魔について教えてくれないか」
【アルクェイド】
「使い魔について? ええ、別にかまわないけどどういう風の吹き回し? 前はそんな事に興味ないってつっぱねてたのに」
「たんに事情が変わっただけだよ。で、難しい所はばっさりとカットして解りやすく簡潔に説明してくれ……って、それもまずいか。ばっさりカットするのはやめて、できるかぎり解りやすく説明してくれ」

【アルクェイド】
「んー、解りやすくも何も、わたしもあんまり詳しくないのよね。レンだってただ引き取っただけだから、使い魔に関する知識は舐める程度しか知らないんだけど」
「ああ、それぐらいが丁度いい。いいから話してくれ」
【アルクェイド】
「そう? なら何から話そうかな」
アルクェイドは嬉しそうだ。……内容はどうあれ、話し好きなのは相変わらず。
「そもそも使い魔って何?って所からやってくれるとありがたい」
【アルクェイド】
「そうね、それじゃ使い魔の種類から話そうか。
使い魔っていうのは魔術師が好んで用いる協力者の事よ。召使とか従者とか、そういった物とは根本からして違う。使い魔は魔術師の分身であり、その魔術師そのものを象徴する紋章みたいなものなの」
「……分身って、そりゃあたしかにネロの使い魔はあいつ自身だったけど、他の魔術師もそういうものなのか? 自分の体の中に住ませているとか」
【アルクェイド】
「ネロは特別よ。使い魔は確かに術者と肉体的、精神的な繋がりを持つけど、ネロみたいにほぼ全てが等価、なんていう事はありえない。
……んー、ようするに魔術師っていうのは外に出ない連中なのよ。彼らにとって最優先事項は自身の魔術を魔法まで昇華させる事で、それ以外の出来事なんかに関わっている時間はない。
けどどうしても自身で行わなければならない出来事が発生した時、自身の代わりに派遣するのが使い魔なの。偵察用とか暗殺用とか、そんな単一の目的に使用されるものではなく、状況の変化に応じて魔術師の考えを忠実に再現し、かつ自分の意志で行動する魔術師から独立した魔術師の一部。……とまあ、それが一番上等な使い魔でしょうね」

「………悪いがさっそく解らない。そういう説明はいいから、もっと単純な話を聞かせてくれないか。例えばさ、おまえの使い魔は黒猫だろ。あれは元から黒猫なのか?」
「レン? レンは人間霊と猫の死骸の掛け合わせよ。……そっか、志貴にはそこから説明しないといけないんだ」

「いい? 使い魔というのはまず正しい系統樹に含まれる生命じゃないわ。
魔術師は自らの分身を必要とする。けれど自分とまったく同じ理性・思考経路を辿る分身なんて必要はないの。彼らが求めるのはね、自分と同じレベルの知性を持ちながら思考の矛先が異なる、教師でありながら反面教師にもなりえる愚かな自分、なわけ。
そのほうが新しい発見があるし、自分の間違いにも気が付きやすいでしょう?」

「けどね、自分と同じ知性というのはいいにしても、人間そのものをもう一人作るのはタイヘンな作業だし、維持するのもやっぱり無駄な労力になるわ。
だから魔術師は自分の分身として小動物を好んで選ぶ。知性の在り処は別に用意して、その端末として猫や犬を用いるの」

「その過程として、まず死亡している小動物の亡骸と人間の残留思念を用意する。
他人の残留思念……まだ世界が記録している死人の人格を利用すれば人格形成は容易くなる。もともと肉体が消滅してさまよっているような魂だから、新しい容器を用意してやれば新しい生命になるわ。
このおり、魔術師が行うことは小動物の死骸を修理して動けるようにして、自分の分身になるように肉体的な繋がりを付加するの」

「……えっと、一般的な所で血、髪、目、といった魔術回路を強く宿す部分を切り取って、使い魔になる小動物に組み入れる。
そうする事で使い魔は魔術師と繋がりを持ち、かつ使い魔も以前は持ち得なかった魔術回路を持つに至る。
そうして蘇生した小動物はすでに小動物ではなく、完全に独立した生命、一代限りの使い魔となるわけね」

「あ、でも注意すべきなのは、これは死者を蘇らせた、という訳ではないということ。あくまで死者のパーツを使った生命の配合だから、魔法の域には達していないわ。
えっと、そうやって作られた使い魔は忙しい魔術師の手となり足となり外界で活動を始め、成長し、いずれはその魔術師そのものを象徴する影となる」

「……まあ、そういうのを嫌う魔術師というのも確かにいて、その場合はすでに存在している生き物を束縛して使い魔にしてしまう場合もあるわ。生きた人間を無理やり使い魔にする、という時点で魔術師というよりわたしたちに近い魔物になっちゃってるんだけどね、そういう連中は」

「…………………」
……つまり、あの子は黒猫でもあり、あの女の子でもあるという事なんだろうか。どちらが先でどちらが本性、という問題ではないんだ。
「……死者のパーツを利用した、か。けど、それでも死者を蘇らせた事にはならないのか。だって一度死んだ物に命を吹きこんだわけなんだから」

「命を吹き込んだ、というより与えている、という関係だからそれはノー。
使い魔は普通の栄養補給でも少しは活動できるけど、それだけじゃもう存命できなくなっているのよ。体内に魔力回路を植えつけられた使い魔は、たしかに魔術師と同じ魔術を行使できる。けれど彼らにはその大元である魔力を練る機能がないの。
そうね、ちょうど懐中電灯みたいなものかな。電池がないと光が出ない。その電池は魔術師から流れてくる電気で、使い魔自身は主から電気を流してもらわないと魔術を使用できないし、長生きできない」

「———つまり、主を失った使い魔っていうのは」
「すぐに死亡するでしょうね。もともと魔術師が生かしていた擬似生命だもの。それが正しい自然の摂理よ」
ぱわーおぶねいちゃーよ、などとよく分からない翻訳をするアルクェイド。

「だから野良猫ならぬ野良使い魔というものは存在しない。主を失った使い魔はそのまま息絶えるだけ。……ああ、でもうちのレンぐらいになるともう悪魔としての側面も持っているから、自分から再契約して生き延びるってコトもできるわね。
レンは活動時間こそ短いけど、作られた年代はとても古いの。だから使い魔として成長もしてるし、動物霊としても成長している。なによりレンを作った魔術師は普通じゃなかったから、レンは元々ポテンシャルが優れているのよ」

「———————」
その話を聞いて安堵の息が漏れた。
あの子の状況はよく分からないけど、アルクェイドの使い魔っていう事は新しい主を見つけたってコトなんだから。

「志貴? なんか、いますごく優しい顔してたけど、なに?」
「……いや、なんでもない。ただ安心しただけだ。アルクェイドが主になったんなら、その使い魔も長生きできるなって」
「なんで? わたし、レンの主じゃないよ?」
「—————は?」
「わたしはレンを引きうけただけだもの。使い魔なんか必要ないし、そもそも受肉した精霊類であるわたしとレンは同種なんだから、契約なんかできるわけないじゃない」

「—————ちょっ、と、待て。それは、どういう」
「レンは今でも宿無しよ。レンぐらいの使い魔になると悪用しようってヤツが出てくるから、わたしはとりあえずレンが再契約するまでのお守りを任されただけだってば」
————なんだ、それは。
たどしたら、何かひどく矛盾するコトにならないか。

「おかしいぞ、それ。それじゃどうしておまえの使い魔は生きてるんだ。主からの魔力の供給とやらがなかったら死んじまうんだろ、使い魔ってヤツは!」
「そうだけど、レンは夢魔だもの。あの子は自分で主以外から魔力を補充するコトができるから、実は契約する必要なんてないのよ。
……あ、けどどうしてかなあ、あの子自分からは決して行動しないんだ。いいかげん誰かから血なり精なりを採ってこないと消えてしまう頃なのに、まだ誰からも夢魔として精を奪ってないみたい。今じゃ弱りきって自分から動けないぐらいだもの」

「な———消えるって、なんだよそれはっ! 冷たいぞアルクェイド、あの子が自分から行動しないんならおまえが命令してやればいいじゃないか!」
「あのね。使い魔を悪用するなって言ったのはあなたでしょう、志貴。それともなに、レンを生かすために無闇やたらと無関係の人間の夢を操作していいっていうの?」
「————————く」
それは確かに俺が怒鳴りつけた事だった。
以前、アルクェイドにお礼として夢魔を遣わされて、とんでもない夢を見た。
その件があって、いつだったか二度とあんな真似をするんじゃないって釘をさしたのは他ならぬ自分自身だったのだ。

「わたしがレンを使役したのはあれだけよ。もし次があるとしたら、それは志貴になにかあった時だけ。例えば志貴が大怪我をした場合、わたしには何もできない。けどレンなら手段があるかもしれないでしょう? 肉体より先に精神が消えてしまうような状況なら、夢を操るレンは優れたセイバーになれるもの。ま、魔力の提供がないからそうなった場合は志貴より先にレンが消えてしまうでしょうけど」
「—————俺が怪我をするって、何を」
【アルクェイド】
「さあ? わたしからはこれ以上なにも言えないわ」
 ふい、と視線を逸らすアルクェイド。
……それきり、アルクェイドは何を訊いても答える事がなかった。
 
□志貴の部屋
……ベッドに倒れこむ。
屋敷の電灯が全て消えた夜。
いつもならここから自分の時間が始まるのだが、今日ばかりはそんな気力さえ作れない。

アルクェイドは言った。
あの黒猫はまだずっと一人で、
自分からは決して行動を起こさなくて、
とどめに、いまにも消えてしまいそうなほど弱っていると。

「——————」
なにを憤るべきかが定まらず、ただシーツを握り締めた。
……この世界は崩壊しだしている。
理由は簡単。ここが遠野志貴の夢であるのなら、現実の遠野志貴が死にかけているからだ。
それを繋ぎとめるために、あの子はずっと走っていた。
俺をこの繰り返しに閉じ込めていたのではなくて、次の日にいってしまったら死んでしまうから、必死になって同じ一日を繰り返させていたのだろう。

「————————」
けれどそれももう限界。
魔力の提供とやらがない彼女には、確実な死が待っている。
何も気付かずに楽しんでいただけの俺を少しでも長引かせるために、あの子は自分の命を削っている。
 
 ……鈴の音が聞こえた。
「——————————」
そうして睡魔がやってくる。
……頑張ってくれているのは分かるけど、いいかげんその完璧さが頭にくる。
もう手品のタネは明かされたんだ。
だから、こんなふうにずっと見守っていて、俺が疑問に思ったら眠らせる、なんて事はもうしなくていいのに。

「———分かった、好きにしろ。けど俺は出来ることをやるからな」
暗闇に語りかけた途端、意識が落ちた。
 今の自分に出来ること。
そんなのは一つしかない。
この世界が死にかけていて、それを直すために君が必死になっているのなら。
 俺は、この世界を殺して回っているアイツを、この手で打倒するだけだ————
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