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歌月十夜169

时间: 2019-11-29    进入日语论坛
核心提示:*s208 シエル先輩のアパートに着いた。 空は茜。日は地平に半ば没し、街は紅に染め上げられている。「そういえばこんな夕方も
(单词翻译:双击或拖选)
*s208
 
 シエル先輩のアパートに着いた。
 空は茜。
日は地平に半ば没し、街は紅に染め上げられている。
「……そういえばこんな夕方も今まではなかったな」
日が落ちるのは決まって坂道だった。
高いところから遠い落陽を眺めるイメージ。
……あれは自分ではなく、あの子の心象投影だったのかもしれない。
 だがそれもじき終わろうとしている。
こうして昨日の出来事を少しずつ思い出せている時点で、この繰り返しの夢は破綻しかけているからだ。
「———————さて」
今を逃したら次の機会はないかもしれない。
この頭が彼女のコトをはっきりと考えられるうちに、彼女をよく知っている人に話を訊かなくてはいけない。
 
□シエルの部屋
「シエル先輩、使い魔について教えてくれないか」
顔を合わせるなり用件を告げる。
【シエル】
「はあ、また珍しいコトを言い出すんですね遠野くん」
先輩はあっさりと頷いて、どーぞどーぞと座布団を勧めてくれた。

「使い魔の事を知りたいのでしたら、長話になりますから座ってください。わたしも知識でしか知りませんから参考にはならないかもしれませんけど」
「———————」
大人しく座布団に腰を下ろす。

「それで、遠野くんは使い魔の何を訊きたいんですか?」
「……いや、何って言われても。使い魔って単語しか知らないから、一通り教えてくれるとありがたいです。あ、ほら、アルクェイドだって使い魔を持っているでしょ。あの子を例にして説明してください」
【シエル】
「……あの黒猫ですか。アレはもう魔の類ですが、元が使い魔ですから参考例にはなりますね」
むっ、と少しご機嫌を悪くするシエル先輩。アルクェイドの話だけでも鬼門なのに、その使い魔まで加わったんだから当然か。

「で、先輩。結局使い魔っていうのはなんなんですか」
【シエル】
「うーん、それが使い魔という言葉はあまり普遍的ではないというか。まあ、大体は魔術師が自身の手足として生み出したモノを使い魔と言うんです。
魔術師という連中はともかく自分の部屋から外に出ない人たちで、外界の情報収集だの材料集めだのを、自分とほぼ同じ価値観をもった分身に行わせるんです。
一般的に、それが使い魔と言われるモノです」

「お使い専門……ってコトですか?」
【シエル】
「まあ、基本的には。ですが使い魔というものは魔術師のシンボルでもありますから、そこいらの使い捨ての小者とは格が違います。魔術師の中には、自身が殺された時は使い魔に転移できるように保険をかける人もいますから。……まあ、ぶっちゃけて言えば少し能力が劣る自分の予備、という事ですね」
「……あの。それじゃアルクェイドの使い魔って、アルクェイドと同じぐらいデタラメってコト?」

「うーん、アルクェイドとあの夢魔の関係は違うんです。もともとあの夢魔はある魔術師が作り上げたもので、アルクェイドは魔術師から預かっているだけなんですよ。
……その、あの夢魔はとても強い魔力回路を持っていて、力ない魔術師が使い魔として契約してしまうと逆に食べられてしまうぐらい強力なんです。ですから、相応しい契約者が現れるまでアルクェイドが擁護している、という事ですね」

「……それじゃああの使い魔は昔だれかの飼い猫で、今は一人きりって事ですか」
「はい、前の主だった魔術師はすでに他界していますから。
で、ですね。魔術師というのは自らの魔力回路……魔眼やら髪やら血肉ですね、そういったものを使い魔に与える事で、本来魔力を持たない小動物に魔力回路を与えて自己の分身とします。
生前持ち得なかった魔力回路を与えられた小動物……アルクェイドの夢魔は猫ですね。その猫は魔術師と同じように魔術を行使できるようになりますが、使い魔には魔術を発動させるエネルギーがないんです」

「使い魔というものはたいてい死体を寄せ集めて作り上げた擬似生命で、それが活動するだけで一つの魔術なんです。ですから使い魔はつねに主から生命力の供給を受けて活動し、魔術を行使する。使い魔単体では命を作り出す機能がありませんから、魔術師が死亡すれば使い魔もいずれその後を追う事になるでしょう」

「—————————」
……話を解りやすくまとめよう。
ようするに使い魔というものは、魔術師に生命力というエネルギーを分け与えられて活動する生き物だ。……足りない命を他の命で補う、というのは俺と秋葉の関係みたいなものだろう。
で、使い魔は主である魔術師の能力を受け継ぐとか、そういうのはとりあえず無視するとする。

先輩の話でなにより問題だと思うのは、アルクェイドと使い魔の関係だ。
アルクェイドは使い魔の主ではないという。
なら、あの使い魔は誰からも命の供給を受けていないという事になる————

「おかしいよ先輩。その話だと、アルクェイドの使い魔は生きていられないじゃないか」
【シエル】
「それがですね、あの猫は夢魔です。主人からの命の供給がなくとも自分で人間の精を補充できますから、主を失ったはぐれ使い魔でも単体で生存する事ができます」
「————————」
夢魔。そうか、そういえば俺だって以前、その犠牲になったというか、おいしい目に遭わせていただいたというか。

「……なんだ。それじゃああの子が死ぬなんて、そんな事はないわけだ」
「いいえ。アルクェイドの夢魔は、このままでは存在ではなくなるでしょう。
なぜならアルクェイドは使い魔を必要としません。アルクェイドが使い魔に命令しないかぎり夢魔は人の精を奪いにいかない。そうして仮の主であるアルクェイドは魔の領域にまで達した、受肉した精霊である夢魔とは肉体的な繋がりが持てない。
結果として、あの夢魔は生命力の補充ができずにもうじき消え去る定めです」

「な—————だってそれでも、あの子は自分から、その、精を集められるんだろう!?」
「……それが不思議な話なのですが、あの夢魔は自ら能力を行使しないのです。きっと先代の主は立派な魔術師で、使い魔は自ら行動してはならない、という教えを守らせていたのでしょうね。
……逆にいえば、だからこそ今までカタチを保っていられたのでしょう。ですがそれも終わりです。人間と再契約して血なり精なりを得ない事には、彼女はじき消え去ります。……そうですね、アルクェイドが夢魔に命を下して力を行使させれば、それきり夢魔は消えてしまうでしょう」

「———————けど、それじゃあ」
それじゃあ、あの子は何をしているんだろう。
自分からは行動しないというけれど、あの子は今もこうして夢を作り続けている。
動けば消えていってしまうぐらい弱っているのに、どうしていつも、あんなにまでして必死に街中を走りまわっているのか————
 
【シエル】
「遠野くん、あの夢魔と面識があるんですか?」
「え———いや。そういうワケじゃ、ないけど」
【シエル】
「ははあ。そういえばそうでしたねー、遠野くんは一度夢魔さんのお世話になっていたんでしたっけ」

意地の悪い笑みを浮かべるシエル先輩。
だが、今はそんな話に反応する事もできない。

「教えてくれ。このままだとあの子はどうなっちまうんだ、先輩」
【シエル】
「そうですね、遅かれ早かれ消滅するでしょう。けれどそれはもっと先の話ですよ。アルクェイドが夢魔を使おう、などと思わなければ夢魔も一年は存命できるでしょう。
……もっとも、遠野くんに何かあったのならアルクェイドは夢魔を使役するかもしれません。人の命を救う、という点に関してはアルクェイドよりあの使い魔の方が各段に優れていますから」

「———だから。そう、あの子が力を使ってしまった場合の話」
「それは先ほども言った通り、魔術を行使し終わった後に消えてしまうだけです」
きっぱりと先輩は断言した。
「——————————」
喉が動かない。
それきり何も話す気になれず、シエル先輩の部屋を後にした。
 
□志貴の部屋
……ベッドに倒れこむ。
屋敷の電灯が全て消えた夜。
いつもならここから自分の時間が始まるのだが、今日ばかりはそんな気力さえ作れない。

先輩は言った。
使い魔はまだ一人きりのままで、
自分からは決して行動を起こさなくて、
とどめに、いまにも消えてしまいそうなほど弱っていると。

「——————」
なにを憤るべきかが定まらず、ただシーツを握り締めた。
……この世界は崩壊しだしている。
理由は簡単。ここが遠野志貴の夢であるのなら、現実の遠野志貴が死にかけているからだ。
それを繋ぎとめるために、あの子はずっと走っていた。
俺をこの繰り返しに閉じ込めていたのではなくて、次の日にいってしまったら死んでしまうから、必死になって同じ一日を繰り返させていたのだろう。

「————————」
けれどそれももう限界。
魔力の提供とやらがない彼女には、確実な死が待っている。
何も気付かずに楽しんでいただけの俺を少しでも長引かせるために、あの子は自分の命を削っている。
 
 ……鈴の音が聞こえた。
「——————————」
そうして睡魔がやってくる。
……頑張ってくれているのは分かるけど、いいかげんその完璧さが頭にくる。
もう手品のタネは明かされたんだ。
だから、こんなふうにずっと見守っていて、俺が疑問に思ったら眠らせる、なんて事はもうしなくていいのに。

「———分かった、好きにしろ。けど俺は出来ることをやるからな」
暗闇に語りかけた途端、意識が落ちた。
 今の自分に出来ること。
そんなのは一つしかない。
この世界が死にかけていて、それを直すために君が必死になっているのなら。
 俺は、この世界を殺して回っているアイツを、この手で打倒するだけだ————
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