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歌月十夜210

时间: 2019-11-29    进入日语论坛
核心提示:*s300□教室いや、一時の気まぐれに流されるのはよくない。ここは大人しくパン食にして、中庭で昼食をとる事にしよう。「決めた
(单词翻译:双击或拖选)
*s300
 
□教室
……いや、一時の気まぐれに流されるのはよくない。
ここは大人しくパン食にして、中庭で昼食をとる事にしよう。
「決めた、今日は俺もパンにするよ」
【有彦】
「お、気が合うねえ。んじゃあまあさっさとモノ選んでメシにするとしますか!」

善は急げ、とばかりに廊下へ向かう有彦。
「なに張りきってるんだ、あいつ……?」
む、と首をかしげつつ、こっちも教室を後にした。
□中庭

「秋葉ちゃん、お待たせー!」
中庭に到着するなり、傍らにいた男が突然奇声をあげた。
ブンブンと手を振って柵の中にある芝生へと走っていく。有彦の走っていく先には一人の女生徒の姿があった。

【秋葉】
「あら。今日は乾さんと一緒なんですね、兄さん」
やってきた俺と有彦に向かってお辞儀をする秋葉。
……その姿を見て、意味もなく胸をひっかかれた気分になった。
【有彦】
「そうそう、毎日どこ行くか風まかせの兄貴を連れてきてやったってワケ! こいつは放っとくとどこ行くか分からねえからな!」
【秋葉】
「ええ、至らぬ兄を連れてきていただいて助かりました。今後もお昼時はよろしくお願いしますね、乾さん」
【有彦】
「おう、おやすいご用だぜ———って、聞いたか遠野!? よろしくお願いしますだって、よろしくお願いします!」
 
「……………………」
何が嬉しいのか、有彦は芝生の上を駆けまわっている。
【秋葉】
「兄さん? どうかなさいましたか、先ほどからずっと口を閉ざしていますけど」
「……いや、別に。なんとなく秋葉がいるのが意外だった気がしただけだよ」
【秋葉】
「———それは私がここにいるのはおかしい、という事ですか?」
「ばっ、そんなワケないだろ。朝だって別れ際にまた昼に会おうって言ったじゃないか。秋葉がうちの学校にきてもう一年経つんだから、こんなのは日常みたいなものだよ」
 自分で言って、ようやく胸の痒みが消えてくれた。
そう、こんなのは当たり前になった光景だ。
俺と秋葉と、頻繁にやってくる有彦とシエル先輩を交えて昼休みを過ごすのは、最近では当然の出来事だった。
【秋葉】
「あら、朝の約束を守ってくれるなんてそれこそ意外ですね。あれは挨拶のようなものですから、兄さんが無理に守ってくれるとは思っていませんでした」
「そりゃあ他に用事があればそっちを優先するよ。ただ、今日はここにくるのが一番大事だったってコトだけだ」
【秋葉】
「そう言っていただけると嬉しいですね。私も兄さんや乾さんと過ごすお昼は大切ですから」
柔らかな笑顔で秋葉は言う。

……陽射しが明るいせいだろうか。こうして三人で昼食を過ごす時の秋葉は、屋敷にいる時の秋葉よりずっと年相応の少女に見えた。
【有彦】
「おーし、メシにしようぜメシー!」
と。走りまわっていた男が戻ってきた。
【有彦】
「ん? どったの、二人して黙り込んじまって。テンション低いぞ?」

「ばか、俺はともかく秋葉がおまえのテンションについていけるか。乾家の姉弟と違ってね、これが普通なんだよ俺たちは」
【有彦】
「まじ? 家でも遠野はネコかぶってるんの、秋葉ちゃん?」
【秋葉】
「ええ、理性で自分をお隠しになっていますね。けど学校にいる時より気が緩んでいるのか、時折驚かされる事もあります。例えば自分の部屋の前の木に登ったり、夜中に外に出かけたり。それに比べると学校での兄さんは本当に優等生です」
【有彦】
「なんだおまえ、まだそんなワルイコトやってんだ!贅沢なヤツだねー、家には秋葉ちゃんも美人の使用人もいるっていうのになー!」
何がおかしいのか、げらげらと笑う有彦。

「……まあな。で、そういうおいたをした後はたいてい秋葉に注意されるんだが、これが恐ろしいのなんのって。いっとくけどな有彦、ネコかぶってんのは俺のほうじゃないんだぞ」
【秋葉】
「あら、あの程度の事でそのように言われるのは心外です。私、一度たりとも兄さんの前で理性を無くした事はありませんから」
「————————まじ?」
「はい、大真面目です」
にっこりと笑う秋葉。
……アレでネコかぶってるってコトは、つまり秋葉を本気で怒らせてはいけないっていうコトですか。

【有彦】
「あははは! なんだ、遠野んトコもうちと大差ないじゃんか! なんか兄弟みたいだな、オレたち!」
バンバン、と愉快げに背中を叩く有彦。
その意見には同感だったりするけど、俺と有彦とでは決定的に違う部分がある。
「……はあ。言っとくけどな、おまえのトコのほうが幾分マシだよ」
「えー、そうかぁ?」
「そうだよ。だってさ、有彦んトコは姉貴で俺んトコは妹じゃないか」
【有彦】
「あ——————」
有彦はぴたりと笑いを止めて顔をしかめると、
「……そうか。そりゃあ、難儀だ」
と、心底同情したように呟いた。
 
□中庭
「ああ、その話は信憑性高いぜ。他にも茶道室で猫の鳴き声を聞いたヤツはいるしな」
「そうなんですか……? 厭ですわ、茶道室に化け猫が出る、というのは一年生だけの噂話だと思ってたのに」
いかにも心細そうに身を縮める秋葉。まったく、恐くもないくせに恐いフリしやがって。なにが厭ですわ、だ。
まったく、化け猫だったらここにもいますよーって感じだっての。
【秋葉】
「兄さん? なにをブツブツと独り言をこぼしてらっしゃるんです。言いたい事があるのならはっきり発言したらどうですか?」
「ああ。化け猫の類なら俺も色々知ってるな、と思ってな」
【秋葉】
「ふうん……それって、もしかして離れの怪猫のコトですか?」
「? なんだよ、その離れの怪猫って」
【有彦】
「お、なんだなんだ、怪談話か!?」
楽しげに割ってはいってくるこの男は、大の怪談好きでもある。
【秋葉】
「ぁ……いえ、知らないのでしたらいいんです。つまらない話ですし、乾さんの前で遠野家の怪談話するのも気が引けますから。ほら、怪談というのは身内の恥のようなものでしょう?」
【有彦】
「なんだよ、そんなの気にするなってば。いまさらオレと秋葉ちゃんの間には他人の壁なんてないじゃんか」
「いえ、ですが……私もこの話をするのは恐くて、あまりお話したくはないんです」

またもふるふると恐がる秋葉。
……確実に演技だ。まあ、こんな演技に騙されるようなバカはいないとは思うんだけど……

【有彦】
「んんー! 恐がる秋葉ちゃんも可愛いなあ! もうちゅーしたいぐらいだ、ちゅー!」
「バカかテメエはぁーーーーーーーーーー!」
【有彦】

【秋葉】
「に、兄さん————あの、今のはちょっと、まずいのではないでしょうか」

あやうく有彦に押し倒されそうになった秋葉は、自分の事より倒れたバカの事を心配している。
……あれ。今のハイキック、そんなにマズイ所に入ったのかな……?
「……おい。有彦、ふざけんのもそこまでにしとけって。死んだフリなんかしても俺は同情しないし秋葉も看病してくれないぞ」
「—————————————————」
有彦は答えない。
ただピクピクと指先が震えているあたり、かなりリアルなオチっぷりと言わざるをえないだろう。
【秋葉】
「あの、兄さん。乾さん、本気で気絶しているんじゃないでしょうか?」
「………うん。俺も、今そう思ったところ」
「…………………………」
「…………………………」
二人して無言で見詰め合う。
……そうして出た結論は、言葉にこそしないもののともに同じだった。

【秋葉】
「そ、それでは私はそろそろ戻りますね。兄さんたちも早く教室に戻ったほうがいいですよ」

そそくさと立ち去る……もとい、逃げていく秋葉。
「……あいつめ、さりげなく俺に責任押し付けやがったな……」
となると、こっちもやる事は一つだけだ。
「お、昼寝か有彦! よしよし、後で保健室に連絡いれとくから、気の済むまで眠っていてくれ!」
そこいらに歩いている生徒に聞こえるようにそう言って、秋葉のようにそそくさとこの場を後にする。
許せ有彦。
ちゃんと保健医に乾くんが中庭で気絶しています、とだけは伝えておくから。
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