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私の部屋に水がある理由53

时间: 2019-12-07    进入日语论坛
核心提示:人 選 ミ ス勘ちがいにもせつなく気の毒なものもある。あれはおよそ五年前、漫画の持ち込みをしながら、ロック喫茶(自分でも笑
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人 選 ミ ス

勘ちがいにもせつなく気の毒なものもある。あれはおよそ五年前、漫画の持ち込みをしながら、ロック喫茶(自分でも笑っちゃうけど、他に形容しようのない店だったの)で、夜の八時から朝の四時までのバイトをしている頃だった。
常連にSくんという、スナックのウェイターをしている男の子がいた。待てよ、私より年上だったかもしれない。色白で小肥りでよく喋る、愛想の良い子で、ベースをやっていた。まだ渋谷にライブハウスの『屋根裏』があった頃、私はそこへ彼のバンドを聞きに行った事があるが、何故か急にライブはお流れになり演奏は聞けなかった。
しかし律儀な彼は後日私のバンドのライブに来てくれた。お客よりバンドのメンバーのほうが多いようなライブをやってた頃なので、こういう友人ほど嬉しいものはなかった。
ある日、いつもの調子で彼が言った。
「楽器売って小金が入ってさあ。今度の日曜、天ぷらでも奢ってやろうか」
「わー、うれしー」
私は喜んで約束した。この「天ぷらでも」というのが泣かせる。いかにも「若人のエネルギー補給」って感じがするではないか。
ところが日曜日にSくんが連れていってくれた店は、私が想像してたのと大分違っていた。
ゴージャスなのだ。
「ワカサギね」
とか何とか板さんに言うと、その場でシュワーと揚げてくれ、真っ白なお塩をちょっとつけていただくようなお店で、当然Sくんは私にビールまで奢ってくれるのだった。
その頃の私にとって、ビールは結構高価だった。下北沢の居酒屋にバンドのメンバーと集まり、二百円のチューハイ二杯と枝豆とホッケの塩焼きで丁度千円。だってビール頼んだらどんなに安い店でも四百円はするじゃない。
「ああら、ウチダさんたら、ホステスしてたくせにビールが高価ですって」
と思われるだろうが、私はもともとは家出娘をやっていて(そのまま実家には帰ってない)、やり始めの頃は神社やひとんちの軒下なんかで眠って公園のトイレで歯を磨くという箱男的生活だったの。その後ある家に女中(この言葉って、書くのはいいんだったよね? 放送だと言っちゃいけないみたいね。でも自分がそれに当てはまる場合は、ほんとはいいんだよね、いつも言いそうになって困っちゃうのよ)として住み込んだんだけど、最後に残った三十円でパン買って食べたとこなんて、百五十円のかけそばより勝ってるでしょ、エヘン。
そんな事を威張っても仕方ないのだが、とにかく私はいつでも貧乏に戻れる体質なんです。で、嬉しくて遠慮なく食べた。
お腹がいっぱいになり良い気持ちになった私は、お礼を言って別れようとした。すると彼は、
「も少しいいでしょ?」
と言う。
その時私の脳裏には、一つの考えしか浮かばなかった。
「トモダチに、これ以上散財させるわけにはいかないわ」
しかし、私には彼に奢るほどのお金は無い。困って、
「いやー、もうお腹いっぱいだし酔ったし」
などと尻込みしたが、彼はまだ帰りたくないのか、
「じゃあお茶行こ、お茶」
と、ずんずん歩いて行く。そして、あろうことかあるホテルの最上階の、窓の外がぐるぐる回る、いや逆だ、床よね、回るのは。とにかく回るレストランにはいっちゃったのよ。私なんてそんなとこにふさわしいかっこしてないのに。
そこで一体いくら取られたのか考えたくないコーヒーを飲んだあとも帰してくれず、次に行ったのは、なんと……、
「ピアノデュオがジャズをきかせるおシャレなカクテルバー」
だったんですう。
悲しむのは贅沢だって? 私だって、Sくんと関係してもいいと思ってたら悲しかありませんよ。そういうことだってあるじゃない。
Sくんが人選さえ誤らなかったら無駄にならなかったであろうこの日のサービスのことや、今後は以前と同じようなトモダチではいられないであろうことなどを考えると、せつなかった。やっぱりこういうとき貧乏は困る、と思うわ。
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