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旅路66

时间: 2019-12-29    进入日语论坛
核心提示:    28せまい家の中で、有里は母と夫との間で、なにかと気をつかうことが多くなった。雄一郎が寛大であるだけに、いつもそれ
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せまい家の中で、有里は母と夫との間で、なにかと気をつかうことが多くなった。
雄一郎が寛大であるだけに、いつもそれに甘えていることが辛かった。
有里は今更のように、自分が嫁いで来た時、はる子のとった行動について思い浮かべた。
しかし、母とはる子では年齢も立場も違う。母のみちに、はる子のような身の処し方を望むのは無理だとわかっていた。
みちが同居するようになって一番困ったのは、秀夫が目にみえて甘ったれになって来たことであった。
有里が叱《しか》ると、そのそばからみちが庇《かば》う。それに馴《な》れて、秀夫はなにかというと祖母のうしろへかくれて、親たちの小言を避ける知恵がついてしまった。
夜もみちは、秀夫と同じ部屋で寝るようになった。
雄一郎の勤務が不規則で、夜中に帰ったり、明方に出て行ったりが多いので、秀夫と同じ部屋では眠れないだろうということや、親が夜中に帰って来てがさがさしては、秀夫が目を覚して可哀《かわい》そうだというみちの主張なのである。
有里は、家の中に一日一日と、母の意志が大きく根をはって行くのに気がついた。
北海道ではどこの家にも、庭にナナカマドを植えてあることが多い。
ナナカマドとは、あの樹がとても火に強く、七度|竈《かまど》に入れても燃えないというところからそう名づけられたのだという。火に強いので、火事よけに庭に植えるのだともいわれる。
その、ナナカマドの実が真赤《まつか》に色づく頃、或る日、有里は買物の帰りに、隣の岡井夫人からみちのことで嫌味を言われた。
「ちょっと、室伏さん……あんたもまあ随分と水くさい人だねえ……」
普段、めったなことでは怒った顔を見せないよし子が、このときばかりは表情をこわばらせていた。
「はア……?」
有里にはなんのことやらさっぱりわからない。狐《きつね》につままれたような顔をしていると、
「そりゃあね、うちのサブが秀ちゃんの頭に瘤《こぶ》をつくったのは悪いだろうがサ……なんも、子供の喧嘩《けんか》に親が出ることはないだろう」
よし子は一気にまくし立てた。
「子供の喧嘩に親が……いったい何んの事でしょう……」
「ふん、とぼけるのもいい加減にしておくれよ、学校へ行って、なんも先生にまで告げ口することはないだベサ……サブが悪いなら悪いと、なんで私に言ってくれないのさ」
「先生に告げ口ですか?」
「そうさ、おまけにサブをつかまえて、秀坊に謝れって……なんも子供のちょっとした喧嘩じゃないかサ、そんなひどいことせんでもええでないの」
「いったい、誰がそんなひどいことを……」
「あんたとこのお母さんだよ。私も長いこといろんな人と隣合せに住んだがね、子供のことで呶鳴《どな》り込まれたんは、これが初めてだよ」
「母がそんなことを……」
有里はようやく思い当った。
先日、秀夫が外から泣かされて帰って来たのを、みちがひどく憤慨していた。きっとそのことが腹に据《す》えかねて、学校へまで言いつけに行ったのだろう。
岡井家には普段からいろいろ世話になっているだけに、母の仕打ちが恨めしかった。
「なにしろ、同じ鉄道で働いてるんだから、こっちは親類も同様だと思ってるのに、こんなひどい事されて……私はほんとに口惜《くや》しくって口惜しくって……」
「岡井さん……」
どう謝ったらいいのかわからず、有里はよし子の見幕にただおろおろするばかりだった。
「とにかくね、今後、あんたとことは一切つき合わんでね……旦那さんにもそう言っといてちょうだいや」
よし子は投げつけるように言って、そのままどんどん行ってしまった。
その晩、有里はみちにそれとなく、近所づき合いを注意してくれるように話してみた。
むろん、雄一郎に相談してのことである。
「なんや、それやったら、私のやり方があかん言うのかいな」
みちは不満そうに言った。
「先生も言うてなすったえ、あのサブって子は、乱暴なんやと……」
「そんなことありませんよ。そりゃ、男の子だから少しは乱暴かもしれないけど、よく秀夫を遊ばしてくれるし……」
「お前は知らんのや、あの子はそれは蔭ひなたがあるんやで……親の見とる前では秀夫をちやほやして、見とらん隙《すき》にいじめるんや、秀がそう言うとったわ」
「あてになりませんよ、秀夫の言うことなど……とにかく、私になんの相談もなく、勝手なことをするのだけはやめて下さい、迷惑だわ」
有里はめずらしく強い調子できめつけた。
「有里ッ」
みちがこわい顔で坐《すわ》り直した。
「あんた、親に向って迷惑とはなんやね、迷惑とは……」
「まあ、お母さん、待って下さい……有里もつい言葉のはずみで言ったことだし……」
雄一郎があわてて口をはさんだ。
「別に差し出たことしとうてしたわけやないのや、秀夫が頭に瘤《こぶ》までつくられて、黙って居れますかいな」
「お母さん、僕たちは秀夫をたくましい子に育てたいと思っているのですよ、少々の瘤くらいで騒がんほうがかえってあの子の為なんですよ」
「少々の瘤ですんだからいいようなものの、もし、命にかかわる大|怪我《けが》だったらどないするのや、そうなってしまってからでは遅いのや……」
「そりゃ、まあ、そうですが……」
「そら、男の子はたくましゅう育てるのがよろし、けど、それはもっと大きゅうなってから、あんじょう鍛えたらよろしいがな、三つ四つの子オはまだ親が注意してやらなんだら、とんだことになりますがな」
「でもね、お母さん、隣近所には隣近所としてのおつき合いの仕方ってものがあるんですよ」
有里がたまりかねて言った。
「そやかて、別に、うちとこが悪いことしたわけやないで……」
「そんな単純なものじゃありませんよ、その調子だから、幸子お姉さんともうまく行かないんです……」
「有里、あんた嫁の味方して、わたしを悪者にする気かいな」
みちの眉《まゆ》がぴくりと動いた。
「わかった、ようわかりました……あんたら、私が邪魔になったんやね、そいで、なんやかんや言うて、私を追い出そうとするのやな」
「お母さん……」
有里は雄一郎と顔を見合せた。
「違いますよ、なにもそんなつもりで……」
立ちかけるみちを、雄一郎はあわてて止めた。
「邪魔やったら邪魔とはっきり言うたらいいのや、うち、なんぼでも出て行くさかいな」
「そんな必要はありませんよ、僕たちいつまでもお母さんに居て頂いてもかまわないんですよ」
むずがる子をなだめるような具合で、雄一郎も有里も逆にみちの機嫌をとるのに苦心する始末となってしまった。
みちが釧路へやって来て、かれこれ一か月にもなった。
尾鷲の勇介からは、その後もしばしば、なんとかなだめて帰らせてくれるようにと言ってくるし、雄一郎夫婦にしても、なんとかそうしたいと考えていたが、肝心のみちが釧路にでんと腰を落つけてしまって、どうすることも出来なかった。
長男の嫁が来てからめっきりひがみっぽくなっているので、下手に話をすれば、すぐ、邪魔なら出て行くと血相を変えるので始末が悪い。
おまけに、性来気が強いのと、孫の秀夫を溺愛《できあい》するあまり、隣近所とのトラブルが絶えなかった。
岡井よし子のところとは、雄一郎夫婦が交替で謝りに行って、どうにか納得してもらったものの、今だに、岡井よし子とみちは表で顔を合せても、つんとそっぽを向く有様であった。
みちが騒動を捲《ま》き起したのは、なにも岡井家ばかりではなかった。
或る日有里は、たった二日のことだからとつい気易く考えて、秀夫を母に預け、小樽の岡本良平と千枝を久しぶりにたずねた。
ところが、その二日の留守の間に、釧路ではまたまた大変な騒ぎが起っていた。
事の起りは、みちが秀夫を遊ばせていて、裏の洗濯物干場で鬼ごっこの相手をしてやったことである。
この物干場は、官舎ずまいの三軒が共同で使っているもので、その日は左隣の桜川家の洗濯物がいっぱい干されていた。
その間を、みちと秀夫が走り回っているあいだに、うっかり秀夫の体が洗濯物にふれ、竿《さお》が地面に落ちたために、折角の洗濯物が泥で汚れた。
みちがあわてて洗濯物を拾い上げているところへ、折悪しく桜川夫人が通りかかった。
「まあまあ、なんでしょう……」
民子が甲高《かんだか》い声を張り上げた。
「洗濯物干場で、子供を遊ばせてよろしいかどうか、いい年をして御存知ないんですかね」
彼女はどうもみちとは性格的にそりが合わないらしく、いままでにも、何度か感情的に対立したことがあった。その鬱憤《うつぷん》がここで爆発したのである。
しかし、面白くないと思っている点では、みちも同様であった。
「そやさかい、洗い直しさしてもらいますがな」
みちの表情には、明らさまな敵意がこめられていた。
「洗い直せば文句はおまへんのやろ」
「私は癇性《かんしよう》ですから、他人様に洗いものをいじられるのは真っ平ですわね」
「それじゃ、どないしたらよろしゅうございますねん、たかが子供のしたことで、そないめくじら立てんでもよろしいやおまへんか」
「あなたはね、子供が子供がとおっしゃるが、大体、秀夫ちゃん、このところ悪さがすぎますわね……お年寄がおいでになる前は、ききわけのいい子でしたがねえ」
「そやったら、なんですか、私が来てから秀夫が悪うなったとおいいやすんかいな」
「昔から申しますですね、年寄っ子は百文の損……それだけ人間の値打ちが下りますそうですね」
「阿呆《あほ》らしい……」
みちもけっして負けてはいない。まともに民子をにらみつけ、かえって落つきはらった声で言った。
「子供も産めんようなお人に、なんで子供のことがわかりますかいな、学校の先生しとられたそうやけど、あんたはんのような先生に教えられた子オはほんまに気の毒なことや」
「な、なんですって……」
民子の頬《ほお》がひきつった。
「あなた、私を侮辱なさいますか」
「いいえ、とんでもないことだす、うちでも子供はみんな大阪や京都のええ学校を出さしてもろてますけど、あんたはんのような、けったいな先生に逢うたのんは初めてやさかいな……」
「まあッ……なんでございますって、あなた……失礼な……」
桜川夫人は怒りのために口もきけなかった。それを小気味よさそうに横眼で眺めながら、みちは更に重ねた。
「失礼なんは、そっちやおまへんか、人の孫をつかまえて、年寄っ子は百文の損やなどと……大きなお世話や、憚《はばか》りながら尾鷲の中里いうたら、昔っからの名家だす……先祖は後鳥羽天皇様が熊野へ行幸あそばされたみぎり、ご先導を承った由緒ある家柄や、ここらあたりに住む人とはわけが違いますよってに……」
しかし、民子もなかなか負けてはいない。
「へえ、それほどのお家柄の末が、なんで亦、こんな貧乏鉄道員の嫁においでですの、なんで、娘さんのところでいつまでもお母さんが居候しておいでなさいますの?」
これにはみちも、ちょっと急所をつかれた形となった。
「……とにかく、汚れものは洗い直しさせてもらいますよってに……」
民子の手から洗濯物を取ろうとした。
「要らんこと、せんでください」
民子は取られまいとする。
「そやかて、汚れたもんは洗わしてもらいますがなッ」
「いいえ、結構です」
二人がしばらく揉《も》み合ううち、突然、大きな音をたてて布が破れた。
「あッ……」
みちが手を放したときはすでに遅かった。
桜川家の主人のワイシャツは、裾《すそ》から背中にかけて、ほぼ真っ二つに裂けてしまっていた。
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