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男とは何か17

时间: 2020-09-27    进入日语论坛
核心提示:第十七信続・上司への逆らい方について しかし、若いうちからすべてに程がよく、老成ぶってソツがないというのも可愛げがない。
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 第十七信続・上司への逆らい方について
 
 しかし、若いうちからすべてに程がよく、老成ぶってソツがないというのも可愛げがない。
 犬や猫でも、小さい頃はじゃれるにしても加減というものを知らないから、つい調子に乗って飼い主の手に歯型がつくくらい強く噛むことがあり、それがまた飼う方とすればたまらなく可愛い。それと同じで、人間もまだ一人前になりきらないうちは、つい力んで上司であることを忘れて頭に血がのぼり、噛みついてしまうことがある。
 私が二十代の後半の頃、同期入社の男で、妙にウマの合うのがいた。身長は百七十センチ程で一見優男なのだが、喧嘩《けんか》っ早い奴だった。
 私も負けん気の強い方だし、生意気盛りだったから、先輩上司でも意見が合わないと黙って引っ込んでしまうことが出来ず、ガンガン自分の考えをぶっつけ、容易なことでは妥協しなかった。
 ところがその男は、上の人間から理不尽なことを言われると、さっと顔色が蒼《あお》ざめ、その上司の耳に口を寄せ、何やら囁《ささや》く。ちゃんと聞いたことはないが、おそらく、「ちょっと外へ出て頂けませんか」というようなことを言うらしい。すると上司は、他の部下の手前もあって尻込みするわけにもいかず、顔色は変わるが、「おう」と虚勢を張って立ち上がり、男について外へ出ていく。それから二、三十分経《た》って帰ってきたその上司の顔は項垂《うなだ》れ蒼ざめ、皆に体裁が悪いからしばらくはその顔を上げずにいた。
 私はその男に、「どうしたんだ、殴ったのか?」と訊ねると、ニヤッと笑って首を横に振り、
「いや、ただ人気のない所で二人きりになって、静かにきちんと話をしただけさ」と涼しい顔をしている。
 後で判ったことだが、われわれの先輩上司でその男から外へ連れ出されなかったのはほんの数人で、そのほとんどが一度はやられていた。
 だが、不思議なことに、そうやって連れ出された先輩上司で、その男に後々まで根に持つのはいなかった。むしろ親近感を持ち合って、何かにつけてその男を引き上げようとするのだから、いったいそのときどんな話をしたのだろうかと、私はずっと長い間それが気になってならなかった。
 それから十数年経って二人が同時に部長になった夜、久しぶりに二人だけで飲んだときだった。私はその男に長年の疑問をぶっつけてみた。すると彼は、
「なんだそのことか。どうってことはないさ、ただ人通りのない横丁に連れ込んだときに、ひとりごとのように、『僕は学生の頃ボクシングをやってましてね』とそう言ってね、後は静かに話の続きをするだけでね。するとちゃんと聞いてくれるんだな、こっちの話を。ま、たしかに半ば脅迫じみてはいたけれど、僕はあれでよかったと思ってるんだ。あの頃先輩達はわれわれ若い連中の話なんかまともに聞こうという姿勢なんか皆無だった。君だけはたしかに彼等がどんなに不愉快がってもポンポン言っていた。しかし他の連中は言いたいことも我慢して唯々諾々だった。だから俺はそれでクビになってもいいと思って、その突破口を開くつもりでああいうやり方をしたんだ。しかし、そのせいでわれわれの言うことに耳を貸す気風が会社に出来たのはたしかだった。
 いまこうやって若い連中を引っ張ってかなきゃならない立場に立ってみて、あの頃の先輩上司とたいして違わない態度をついとりがちになる自分に気づくんだな。そして、若い連中から脅かされる前にこっちから気持を開いて、腰の引けている若い連中を引っ張り出さなきゃいかん、それが俺達の役目なんだって、あのときの自分を思い出しては自分に言い聞かせているんだ」
 と、しみじみ言っていた。
 そのとき聞いたんだが、実は彼はボクシングなんかやったことなんてまったくなく、子供の頃から腕力を使った喧嘩は一度もやったことがなかったんだそうだ。
 ところがいまはどうか。その男みたいな気力のある若い社員はまったくといっていいくらい見当らない。
 皆紳士で、クールで、慎重で、物静かで、そしてほどほどに優秀だとは思うが、それだけなんだな。迸《ほとばし》るような気力や、体を張ってでもやり抜こう、殴り合いになることも覚悟の上で論戦しようという熱っぽさ、辞表を懐にして上司に対して噛みつくくらいの威勢のいいのなんて、いくら探してもいはしない。
 それは先輩上司に対してだけでなく、同僚相手の場合でも同様で、妙に他人行儀なところが私なんかには不満なのだ。
 血気盛ん、という言葉があるが、それは人生のある時期の特徴であって、それをねじ伏せクールを装うということが、その人間の後の人生に何をもたらすかということも考えてみていいことだと思う。
 サラリーマンというものは、その血気盛んな時期を植物の花の季節に譬《たと》えるなら、それは長丁場のサラリーマン人生の中のほんの一瞬で、あとはみるみるうちに気力を失い、事なかれ、自己保身専一に傾き、どうやってつつがなく定年まで辿《たど》りつけるかを第一に考え、役員になりたいのは山々だが、そのために身を危くする血気を露《あらわ》にするようなことは、まずしない。
 それだけに、自分の血気盛んだった頃を心の支えにするところが、多かれ少なかれサラリーマンにはある。何かの折に退嬰的《たいえいてき》な気持になると、その短い花の季節の自分を思い起し、その頃には及びもつかないが、その真似事でもしてみては、と自分をけしかけることがある。だが、その花の季節を持たずに若いうちから腰を引きっぱなしの人間は、一年じゅうを冬ごもりで過ごす氷河期の生物のように血気を知らずに終る。
 企業のトップにある者が、口癖のように“活性化”を口にするのは、とりも直さず、血気盛んな季節をどうやって長く引き延ばそうかということに他ならない。
 だが、この口癖はしばしば空振りに終ることが近頃多く、世の経営者達は苛立つのに飽きて半ば諦《あきら》め顔になっている。いまの血気薄い若者達をいくら煽《あお》り立てても、まるでその効果が上がらないのに業を煮やしているのもそのせいだ。
 しかし私は必ずしもそうは思わない。
 マスコミは簡単に世の中がまるで変わったかのように書き立て、新人類などという異称を若者に奉ったりするが、そんな莫迦《ばか》なことがあるはずがない。
 明治維新のとき革命の先頭に立った各藩の脱藩浪士達を、当時の大人達は眉をひそめて理解を拒んだし、われわれも戦後“アプレゲール”と呼ばれて、戦前派からヒンシュクを買ったものだった。
 つまり、いつの時代でも若者は異端であり、理解を絶するはね上がりであって、時の社会的リーダー達は、(こんな連中が担う次代は果して大丈夫なのだろうか)と不安に戦《おのの》くのが常だった。
 しかし、ちょっと長いスパンで見直してみるとどうか。エイリアンのように不可解な彼等が三十代半ばになると、たちまち変身して身心ともにしょぼくれ、先輩達に自分から接近し、同化して区別がつかなくなってしまう。
 だから君に言いたいのだが、いまの君に大事なのは、老成ぶって逸脱を畏《おそ》れるよりも、血気をふるい起して、若気の至りにブレーキをかけないことではないのか。
 先輩上司はむしろそれを待っているはずであり、前の方で書いた私と同期の男のように、上司に対し意味のある喧嘩を爽やかに売るように心掛けるべきではないのか。とくにいまの君の年では——。
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