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男とは何か29

时间: 2020-09-27    进入日语论坛
核心提示:第二十九信「破滅型」について つい今しがたまで君のことで母さんと話していたのだが、ちょっと意見が対立してね、思いがけず長
(单词翻译:双击或拖选)
 第二十九信「破滅型」について
 
 ——つい今しがたまで君のことで母さんと話していたのだが、ちょっと意見が対立してね、思いがけず長引いた。
 話というのは君のボーナスの使い方についてというのがきっかけだった。
 母さんの言うのには、君の金の使い方がこの一年の間に随分変わってきた、つまり金遣いが荒くなったのが心配だというのだ。やがて遠からず結婚もしなければいけないし、少しはそのために貯金もさせたいと思っているのに、その逆に小遣いが足りないといっては家から金を持ち出すことが多くなっている。
 勤め出した頃は家へ僅《わず》かだが金を入れていたのに、いつの間にかそれもなくなってしまい、近頃は平均して月に三万くらい「ボーナスで返すから貸して」と持っていくようになってしまった。本当に仕事かどうかは分らないが、その日のうちに帰ってくればいい方でほとんど帰宅は午前様だから、あれでは金がかかるのも当り前で、そういう生活態度が癖になるのが怖いとそう母さんは言うんだ。
 聞いているとなんだかひと頃前の私自身に対して当てこすりを言われているような気もしないではなかったが、とにかく母さんは最近の君の生活態度についてかなり批判的で、私から注意をして欲しいと言うんだ。
 そこで私の意見だが、さっき母さんにはざっとこんな話をしたものだった。
 たしかに母さんの言う通りで、人間というものは、というよりは「サラリーマンというものは」と限定し直した方がいいが、金遣いも含めて生活態度なるものは、ほとんど“癖”によって偏りが固定化していくものだ。
 たとえば毎週二本映画を見るのが習慣になってしまうと、何かで忙しく映画を一週間見れなかったりするとまるで禁断症状のように生理的に落ち着かなくなる。ところが病気か何かで二ヵ月映画から遠ざかると自分でも不思議なくらい見なくてもどうということもなくなり、あれほど通いつめた映画館に一年でも二年でもごぶさたして平気になってしまう。
 毎晩つい立ち寄ってしまう行きつけの飲み屋というのもそれと同じで、出張か何かで二日も遠のくと、東京へ帰ったらまず何はさておきその店へ顔を出さないと気が済まないというくらい行き癖がつくものだが、これも何かの加減でひょいと足が遠のくと、(なんであの店にあんなにこだわっていたのか)と、かつての自分の気持が分らなくなったという経験が私にもあった。
 まして、サラリーマンの生活というのは朝九時二分前に会社へ辿《たど》りつき、一日の中で起きることの八割は昨日とほとんど変わらない繰り返しで、その後のいわゆるアフターファイブも、つきつめて見れば幾通りかのパターンに過ぎず、その一つを例によって例のごとくフルコースやってようやく家へ帰る気になるというように、誰にもそれなりのパターンがある。
 もっとも、退社時間ぴったりに会社を出て一目散に我が家を目指すという箱入り娘のような人間もいないではないが、やはりそれでは職場の人間関係をうまくやっていくのは難しい。
 というわけで、自分の単なる“道草癖”を正当化し、それを理由に帰り渋りが癖になっているサラリーマンはすこぶる多いわけで、いくつになってもだらしなくその癖の抜けないそういう手合いを弁護する気はさらさらない。
 だが、いまの君の場合を、十把《じつぱ》ひとからげにその“道草型サラリーマン”のパターンにはめ込んで、一概に反省を求めるのは、さてどんなものかと、私は考える。
 ——なぜか。
 私にいわせれば、サラリーマン二年生というのは、よくも悪くも会社の中が隅々まで見えてきたような気になる時期だし、やらされる仕事の行方成行きがだいたい見当がついたような気持を持てる段階だと思う。
 ということは、与えられた仕事を近視眼的に見つめ、それをしくじらずになんとか片付けようということだけに集中し、回りに目をやるゆとりなどまったくないという一年生時代とは違い、周囲との連係プレーが曲りなりにも出来るようになったということに他ならない。つまり周囲との人間関係をさらに血の通ったものにしておかなければならないということであり、それを深め強めるためにアフターファイブを有効に使わなければならなくなる。
 それはただ先輩同僚とベタベタづきあいをしていればいいというのではなく、昼間話すわけにはいかない事柄をその場面でしっかりと話し合い、次の仕事をさらにやり易《やす》くする素地作りをすることが、サラリーマン二年生だからこそ求められるのだ。
 しかもいまは昔と違って、年が若いからといっていつも先輩のご馳走になってばかりいるというわけにはいかないだろうし、三度に一度くらいは格好をつけなければなるまい。いや、先輩から生意気だと思われない限り少々無理をしてでもそのくらいな金はちゃんと持っていて欲しい。そういう対等のつきあいを出来るということが、とりも直さず一人前になる近道だからだ。
                             *    *    *
 というわけで、母さんには、「いまはそういう時期なんだから、妙なブレーキをかけてせっかく乗ってきた気分に水をかけない方がいい、もう少し黙って様子を見ようじゃないか」とそう言ったのだが、母さんはかなり不満そうだった。
 しかし、だからといって手放しで好きなようにしなさいと言いきる自信は私にもない。
 それというのも、いまはさすがに少なくなったようだが、私が若かった頃には、給料は前借り前借りで給料日には貰い分が残っていればいい方という有様で、年二回のボーナスのときは飲み屋の借金取りが詰めかけて待ち構えているものだから、玄関から帰るわけにいかず裏口からこっそり抜け出すという豪傑がゴロゴロいたものだ。
 私はそこまで度胸がなかったからその真似は出来なかったが、世の中には破滅型というのが実際にいるものだと、半分は呆《あき》れ、半分はその奔放な生き方を羨《うらや》ましいと思ったこともあった。なぜなら、そういう男に限って、遊びも豪快だが、いざというときの仕事のやり方がやはり私のような普通の人間とはちょっと違うんだな。思いきりがいいというか大胆というか、腰の引けたサラリーマンにはとても考えられないような意見を示し、怯《ひる》まず行動してみせる。
 そういう人の中で人に先んじて役員になったのもいるが、やはり多くは途中で会社を辞めたり、病を得て消えていったりしたが、私はその種の人間を見てきてこう思う。
 人生というレースにもルールがあって、ここを越えたらアウトという境界線が必ずあるものだ。私を含めて平均的サラリーマンというのは、その境界線の内側にもう一本“注意ライン”という黄色の線があって、それに足がかかると慌てて引き返すものだが、その豪快な破滅型は黄色ラインを平然と跨《また》ぎ、ギリギリの境界線の上を大胆不敵にも千鳥足で歩き続ける。そして一度や二度はその境界線の外に足を踏み出してアウト宣告を受け、それをなんとか頼み込んで大目に見て貰うということを繰り返すのだが、それでも黄色ラインはおろか、境界線上を平気で踏んで歩き続け、見ているこっちまでがハラハラさせられる。
 いまの君は、母さんの話通りならこの黄色ラインの上にいるのかも知れないが、私は結婚がきまるまではいまのままでいいと思う、ただこれ以上境界線に近づかない方がいいとは思うが。
 ——ま、ボーナスが出たら母さんに手袋の一つも買ってやる気遣いは欲しいが。
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