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ぐうたら愛情学31

时间: 2020-10-10    进入日语论坛
核心提示:なぜ女の嫉妬は陰湿なのか 知りあいの歴史学者と、ある日、よもやま話をしていると、その男がこう言った。「家康のことだがね」
(单词翻译:双击或拖选)
 なぜ女の嫉妬は陰湿なのか
 
 知りあいの歴史学者と、ある日、よもやま話をしていると、その男がこう言った。
「家康のことだがね」
「え?」
「家康のことだがね。彼が晩年にしみじみこう言ったそうだよ。予は天下を征服するに苦労をしたが、それよりもっと苦労したことがあると」
「ほう、何だね、それは」
「それは、予の妻妾《さいしよう》を互いにやきもち、りんき[#「りんき」に傍点]をやかせずに生活させることだった。このほうが天下をわがものにすることより、ムツカしかった……、そう家康は語ったそうだ」
「ほんとうかね」
「ほんとうさ」
 歴史学者はウイスキーの水割りをのんで笑った。
 私はそのほうには暗いから、よくそれが事実であるか、どうかを詳《つまびら》かにしない。読者のかたで御存知の向きがあれば、何卒《なにとぞ》、お知らせねがいたい。
 しかし、新東宝の大蔵社長に伺うと、膝をたたいて、そうですよ、全くそうだとうなずいておられたから、この家康の言葉はひょっとすると真実かもしれぬ。
 しかし、私の教えた女子学生が、ある日、あそびにきて、こう言ったな。
「先生。先生のおっしゃったとおりでしたわ。男も女もヤキモチやきですけれど、女のヤキモチは男にくらべると、湿っぽくて、意地悪だわ」
「へえ。何かあったのかい」
「ええ。あたしが入社した会社にオールド・ミスの女の人がいるんです。岡野って名ですけど、その人がとってもヤキモチやきで意地悪なんです」
 どういうふうにその岡野というオールド・ミスがヤキモチやきで意地悪かというと、その巧妙な手口に私もつくづくと感心したな。
 たとえばだ。この私の女子学生が会社で仕事をしているところに、ボーイ・フレンドから電話がかかってきたとする。
「もしもし、登美子ちゃん。ぼく青山です。きょう、いっしょにボーリングにいかないか」
「きょうは土曜ね。三時ごろに退社するわ。いいわよ。じゃ、三時半に会おうか」
「いいね。ステキだね。幸福だよ。倖《しあわ》せ。登美子ちゃんといっしょに午後をすごせるなんて」
「あら、青山さんお世辞うまいのねえ」
「なに、本気さ。ほんと。ヒッ、ヒッヒ」
「じゃあ、例のところで三時半。バイバイ」
「バイバイ」
 恋人同士のこういう楽しげな会話も、私ならニコニコ微笑して聞いているのであるが、この岡野というオールド・ミスはニコリともせず、仕事をしながら知らん顔をしている。
「バイバイのバイ」
「もう一度、バイバイ」
「ほんとにバイ」
「おまけのバイ」
 早く切ればいいのに、そこは若い恋人、バイバイのバイバイと何度も何度も言いあっているのを(私ならニコニコ微笑して聞いているのであるが)岡野さんは能面のような顔をして気にもとめないふりをしているのだが、ほんとうは気にもとめないのではなくて、全身、これ耳。
 しかして、彼女は何もしないかというと、決してそうではない。
 午後三時半ちかくになるのを、じいっとクモが餌のかかるのを待っているように待っているのだなあ。そして午後三時半の時計がボーンと鈍い音をたてて鳴るや否《いな》や、ツウと席をたち、一かかえもある帳簿を両手にかかえ、私の女子学生だった女の子の机にいき、
「泉さん」(実にやさしい声で)
「はい」
「ほんとにすまないけど、急ぐのよ。このお仕事。六時までに仕上げないとダメなの。御苦労さまですけど、やってくださいね」
 茫然《ぼうぜん》としているわが教え子の前にドサリ、書類の山をおき、
「おねがいね」
 あとは知らぬ顔。そして我が教え子は青山君との三時半のデートも全く不可能となり、泪《なみだ》にくれながら仕事をしているのを、
(いい気味ね)
 じいっと向うの机からその姿をうかがう岡野……。
 以上のような話を、いとも口惜しげにわが教え子はして、
「あんなこわい女性には、あたし、決してなりたくないわ」
 しかし私は、こういう女の嫉妬心をそうこわいとは思わなくなってきたのである。男だって嫉妬心の強い奴はザラにいる。ただ、男にくらべて、女の嫉妬心がやや陰湿味をおびているのは、女が男のように暴力をつかえないからだ。男なら、ねたましい不愉快な相手を、
「このヤロー」
 ボカボカと撲《なぐ》れるのであるが、女はそのようなことはできぬゆえ、嫉妬の相手にも、勢い陰湿な手段をとらねばならぬのだろう。
 復讐心と底深さと……
 私がほんとうに女はこわいと思った一例として、こういうことがあった。
 フランスのリヨンで留学生活を送っていた時、下宿していた家のおばさんが、いつも私の部屋にきて亭主の悪口を言う。
 おとなしいおばさんだったし、またその悪口の言い方も控えめなのだが、話をすれば必ず亭主のことについて恨みがましいことを言う。事情はよくわからぬのだが、どうも彼女は自分の主人を心から嫌っているようだった。
 ところがその主人は肝臓がわるくなった。べつに深酒をしたわけではないが、ビールスか何かで肝臓を悪くしたのである。医者からは、食餌療法をきびしく言われたようである。
 ところが——、
 ところがである。私はある日、この主人とおばさんと三人で食事をしながら(晩飯はこの三人でとることになっていた)ふと、あることに気づいた。出された料理は塩分が多い。アルコールを使っている。バターも使っている。それらはすべて、医者が彼の肝臓にひびくものとして禁じていたものばかりである。
(なぜこんなムチャをおばさんは、するのか)
 と私はふしぎに思った。しかし、おばさんがうっかりしたのだろうと考えて、その日は食事をすませた。
 だが、その翌日も翌々日も……私は食卓の上に同じように、主人が決して食べてはならぬ料理を見たのである。
 おばさんは、決して意識的にこの料理をつくったのではない。ただ彼女の無意識の夫に対する憎しみが——いつかこの料理をつくらせていたのではないか。そうして毎日毎日、夫の命をちぢめるようにしているのではないか。そう思った時、私はゾッとした。おばさんは知らん顔をして食事をしている。主人もムッツリしてフォークやナイフを動かしている。
 私はその時はじめて、女の復讐がいかなるものかを見たような気がした。
 一週間後、私は早々にして、この下宿を出たのはもちろんである。
 ああ、女はこわい——それをあの時ほど実感として感じたことはない。
 
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