「災害大国」“肝に銘じ対策を”
7月23日 14時36分
東京電力福島第一原子力発電所について、政府の事故調査検証委員会は最終報告を公表し、「大津波に対する東京電力の緊迫感と想像力が欠けていたことが事故の重要な要因のひとつだ」と批判したうえで、「日本は災害大国であることを肝に銘じて、安全対策に取り組む新たな防災思想が必要だ」と提言しました。
福島第一原発の政府の事故調査検証委員会がまとめた最終報告は、きょう午後、野田総理大臣に手渡されました。「2度とこのような事故が起こらないように、事故の再発防止に受けまして、万全を期して取り組んでいきたいと考えております。」
報告書では、東京電力の事故対応について、同じく津波に襲われながら、事故を抑えることができた福島第二原発と比較し、2号機では格納容器の圧力や温度の監視を怠っていたことなどを指摘して、福島第一原発での対応は「適切さが欠けていた」と批判しています。
また、政府の事故対応について、菅前総理大臣が1号機の最臨界への懸念から、海水を入れる是非を検討させたことを検証し、「現場の状況を把握し、専門的な知識がある電力会社が判断するべきで、政府が現場に介入することは適切ではない」と指摘しています。
さらに、事故前の津波への備えについては、政府の地震調査委員会がまとめていた報告書にあった、平安時代に大津波が東北地方を襲った「貞観(じょうがん)地震」に関する記述に対し、東京電力は、事故の8日前に繰り返し発生しているように読めるとして、表現を変えるよう要請したとしています。
政府事故庁は、「大津波に対する東京電力の緊迫感と想像力が欠けていたことが事故の重要な要因のひとつだ」と、厳しく批判しています。そのうえで、「日本は災害大国であることを肝に銘じて、安全対策に取り組む新たな防災思想が必要だ」と提言しました。