沖縄返還前“米軍基地撤退”に言及
7月31日 11時37分
沖縄が返還される前の1967年、アメリカ政府の高官が岸元総理大臣に対し、「日本が米軍基地を欲しなくなれば、沖縄に残る考えは全くない」と述べ、沖縄からアメリカ軍基地を撤退させる可能性に言及していたことが分かりました。
岸氏らの自主防衛論をけん制し、日本側に基地の必要性を認識させるねらいがあったものとみられます。
沖縄返還をめぐる交渉が本格化する前の1967年に、岸元総理大臣がアメリカのマクナマラ国防長官と行なった会談のやりとりが、外務省がきょう公開した外交文書で明らかになりました。
それによりますと、マクナマラ国防長官は「アメリカ政府の公式見解ではない」と断ったうえで、「日本がアメリカの基地保有を欲しなくなった日から、一日といえども長くいるべきではない。不必要なリスクを負うくらいなら、沖縄に残る考えは全くない」と述べ、沖縄返還にあたって沖縄からアメリカ軍基地を撤退させる可能性に言及していました。
これに対し、岸氏は「アメリカが利己的な動機で沖縄を占拠しているのではなく、日本やアジアの安定と安全保障のためにいるということは理解している」と応じています。
沖縄返還を進めた当時の佐藤総理大臣の兄で政界で影響力を持っていた岸氏は、在日アメリカ軍を可能なかぎり撤退させ、日本の防衛は自衛隊が担う「自主防衛論」を唱えていました。
米軍にとって、沖縄の米軍基地がなければベトナム戦争を遂行できませんので、沖縄から撤退するという気持ちはなかったと見るべきだと思います。岸さんは自主防衛論を主張していて、アメリカ側としては、その話が沖縄の基地の返還という問題に結びつかないように、クギを刺すと非常に意味合いが大きかったと思います。