原発事故収束作業で被ばく隠しの疑い
7月21日 10時2分
東京電力福島第一原子力発電所の事故の収束作業で、工事の一部を請け負った会社の役員が作業員に対して、線量計に放射線を通しにくい鉛のカバーをして、被ばく線量を少なく装うよう指示していた疑いがあることがわかったとして、厚生労働省は近く、会社の関係者から話を聞くなど、調査を始めることにしています。
厚生労働省によりますと、被ばく線量を少なく装うよう指示した疑いが出ているのは、福島県浪江町の設備メンテナンス会社ビルドアップの役員です。この会社は、東京電力が発注した福島第一原子力発電所の放射線が高い現場で、配管が凍結しないための工事を請け負っていましたが、厚生労働省によりますと、去年12月、役員が作業員10数人に対して、それぞれが身につける線量計に放射線を通しにくい鉛のカバーをして、被ばく線量を少なく装うよう指示したという情報が寄せられたということです。
原発の作業員の被ばく限度は、年間50ミリシーベルトまでと決められていて、厚生労働省は、作業員の安全確保のため、線量計を正しく使うよう定めた労働安全衛生法の規則に違反する疑いもあるとして、近く、会社の関係者から話を聞くなど、調査を始める方針です。
これについて、ビルドアップの和田 孝(たかし)社長は、「作業員は役員が鉛のカバーを作成したと話しているが、カバーを作ったかどうかなど、詳しいことは調査中でわからない」と話しています。
また、東京電力は、「下請け会社が線量計を覆う鉛のカバーを作ったことは、事実だと確認したが、原発で実際に使ったかどうかは確認できておらず、引き続き調査を続けたい。鉛カバーを使ったという事実を確認した場合は、適切に対応したい」と話しています。