水俣病救済策 31日申請締め切り
7月31日 19時33分
国の基準では水俣病と認められない人たちに一時金を支払うなどする国の救済策は、きょうが申請の期限です。「申請をしたくてもできない人たちの切り捨てになる」と被害者のあいだから反対の声が上がるなか、申請が締め切られることになります。
熊本県の水俣市役所です。国の救済策の申請期限のきょうも、申請を希望する人たちが次々と訪れ、書類を提出していました。新潟市の病院では、申請に必要な書類をそろえるため診断を受ける人が相つぎました。
国の救済策は、水俣病の症状があるのに国の基準では患者と認められない人に一時金の支払いなどを行ないます。救済策の申請をした人は先月までにおよそ5万7000人に達し、最近でも毎月数百人以上が申請を行なってきました。しかし、環境省は来年4月末をめどに救済策の対象者を確定すると法律で定められているため審査に一定の期間が必要だとして、きょうで申請を締め切ることにしました。
これに対し、被害者団体は「一方的な申請締め切りを強行したことは、まことにもって許しがたい歴史的暴挙であった。」「まだまだ、その背後にはたくさんの被害者が埋もれているのじゃないか。」
被害者団体などが申請の締め切りに強く反対しているのは、「偏見や差別を心配して申請をためらう人が多くいるからだ」と言います。
きょう救済策の申請を行なった44歳の男性です。「水俣市の沿岸部の町で生まれ育ち、幼いころは魚を毎日のように食べていた」と言います。40歳をすぎてから手足が頻繁につるようになり、水俣病ではないかと考えていました。しかし、申請するかどうか最後まで迷いつづけました。
被害者団体などは、申請をしたくてもできない人たちのためにも期限を撤廃し、救済策を続けるよう求めています。こうしたなか、新潟市の東区役所では、きょう午後5時半、窓口での申請が締め切られました。
申請の受付開始から2年あまりで締め切られる国の救済策、環境省は、あす以降に救済を求める人が出た場合どう対応するのか明らかにしていません。
「あたう限りの救済実現に向けて努力をしてまいりました。8月以降のことについては、改めてみなさんにご説明を申し上げたい。」