住宅賠償など 国が始めて基準示す
7月20日 19時すぎ
住民への賠償が本格的に進むきっかけになるんでしょうか。東京電力福島第一原子力発電所の事故の賠償が遅れているとして、経済産業省は東京電力に対し、被害者の住宅などの損害をどう賠償すべきか、初めて基準を示しました。
枝野経済産業大臣は、きょう、東京電力の廣瀬社長に福島第一原発事故の被害者の個別の事情に応じて、住宅などの賠償を徹底するよう求めました。
「これだけのものは、間違いなくお支払いするというのは、あえて言えば最低基準だ。個別請求の手続きであるとか、和解仲介等の手続きに、真摯に対応していただきたい。」
原発事故の被害者に対する住宅などの賠償は遅れています。国の「原子力損害賠償紛争解決センター」によりますと、去年9月以降、不動産の賠償で被害者と東京電力が和解したケースは、わずか数件しかありません。経済産業省は、賠償の遅れが住民の生活再建にも深刻な影響を与えているとして、東京電力が最低限支払うべきだとする賠償の基準を初めて示しました。
国が示した基準では、住宅の賠償額はどうなるんでしょうか。3つの避難区域ごとに具体的に見てみます。すでに3つの区域に再編された飯舘村の場合です。まず、こちら赤色の帰還困難区域に、事故発生当時の評価額が1000万円の住宅があるとします。これに、1.7をかけて1700万円が賠償額の上限とみなされ、新築であれば全額賠償されます。ただ、古い住宅は評価額がゼロになってしまうケースもあります。その場合でも、新築当初の価値の少なくとも20パーセント分が賠償されます。また、居住制限区域と避難指示解除準備区域に家がある場合ですけれども、事故から6年を超えても帰宅できなければ、先ほどと同じように全額が賠償されます。早く帰宅できた場合、たとえば3年後に戻れたとすれば賠償額は半額になります。
また、国は生活再建を早く進めてもらうため、事故の影響で働けなくなった人たちの収入が減ったことに対する賠償基準も示しました。農林業は今後5年分の損害を、自営業者などは3年分、サラリーマンは2年分を一括で支払うとしています。
こうした賠償の基準を原発事故の被害者や自治体は、どう受け止めたんでしょうか。
「どこに第2のふるさとが私は行くのか、わかりませんけれども、住んでいた建物と土地と、見合った賠償していただければ。」
「やっぱり、それで十分満足するものにならない方もいらっしゃると思います。ですから、満足いくような形で行政として、できうる限りバックアップしていきたいなと。」
東京電力は、「築年数であるとか、家の広さであるとか、そういったものは当然それぞれ違うわけで、そうしたことも含めて、きめ細かく対応していかなければいけないと思います。」