「食べなさい」先生が繰くり返した。
「元気になる。わたしは運転士と話してこなければ。失礼……」
先生はハリーの脇わきをゆらりと通り過ぎ、通路つうろへと消えた。
「ハリー、ほんとに大だい丈じょう夫ぶ?」ハーマイオニーが心配そうにハリーをじっと見た。
「僕ぼく、わけがわからない……何があったの?」ハリーはまだ流れている額ひたいの汗を拭ぬぐった。
「ええ――あれが――あの吸魂鬼が――あそこに立って、ぐるりっと見回したの。……っていうか、そう思っただけ。だって顔が見えなかったんだもの……。そしたら――あなたが――あなたが――」
「僕、君が引ひきつけか何か起こしたのかと思った」
ロンが言った。まだ恐ろしさが消えない顔だった。
「君、なんだか硬こう直ちょくして、座席ざせきから落ちて、ひくひくしはじめたんだ――」
「そしたら、ルーピン先生があなたを跨またいで吸魂鬼のほうに歩いていって、杖つえを取り出したの」ハーマイオニーが続けた。「そしてこう言ったわ。『シリウス・ブラックをマントの下に匿かくまっている者は誰もいない。去れ』って。でも、あいつは動かなかった。そしたら先生が何かブツブツ唱となえて、吸魂鬼に向かって何か銀色のものが杖から飛び出して、そしたら、あいつは背を向けてすーっといなくなったの……」
「怖こわかったよぉ」ネビルの声がいつもより上ずっていた。
「あいつが入ってきた時どんなに寒かったか、みんな感じたよね?」
「僕ぼく、妙みょうな気持になった」ロンが気味悪そうに肩を揺ゆすった。「もう一生楽しい気分になれないんじゃないかって……」
ジニーはハリーと同じくらい気分が悪そうで、隅すみのほうで膝ひざを抱え、小声ですすり上げた。ハーマイオニーがそばに行って、慰なぐさめるようにジニーを抱いた。
“刚才那是什么东西?”他问卢平。
“一个摄魂怪,”他说,一面向所有的人分发巧克力,“一个来自阿兹卡班的摄魂怪。”
大家都瞪眼看着他。卢平教授把已经空了的巧克力包装纸揉成一团,放进自己的口袋里。
“吃吧,”他又说道,“吃下去有好处。我要找司机说句话,对不起......”
他从哈利面前走过,消失在走廊里。
“你肯定没事,哈利?”赫敏说,焦急地看着哈利。
“唔—— 那家伙—— 摄魂怪—— 站在那里向四周看。我意思是说,我想它是这么做的,我看不见它的脸—— 而你—— 你—— ”
“我想你是吓着了或者是别的什么,”罗恩说,仍旧很害怕的样子。“你全身发僵,从座位上跌下来,开始抽搐—— ”
“我觉得古怪,”罗恩说,不舒服地扭动了一下肩膀,“好像我再也不会高兴起来了......”