ハリーはみんながいなくなるまで待った。それからドキドキしながらマクゴナガル先生の机に近よった。
「何ですか、ポッター?」
ハリーは深ーく息を吸った。
「先生、おじ、おばが――あの――許きょ可か証しょうにサインするのを忘れました」
マクゴナガル先生は四角いメガネの上からハリーを見たが、何も言わなかった。
「それで――あの――だめでしょうか――つまり、かまわないでしょうか、あの――僕がホグズミードに行っても?」
マクゴナガル先生は下を向いて、机の上の書しょ類るいを整理せいりしはじめた。
「だめです。ポッター、いま私わたくしが言ったことを聞きましたね。許可証がなければホグズミードはなしです。それが規則きそくです」
「でも――先生。僕のおじ、おばは――ご存知ぞんじのように、マグルです。わかってないんです――ホグワーツとか、許可証とか」
ハリーのそばで、ロンが強くうなずいて助すけっ人とをしていた。
「先生が行ってもよいとおっしゃれば――」
「私わたくしは、そう言いませんよ」マクゴナガル先生は立ち上がり、書しょ類るいをきっちりと引き出しに収めた。
「許可証にはっきり書いてあるように、両親、または保ほ護ご者しゃが許可しなければなりません」
先生は向き直り、不思議な表情を浮かべてハリーを見た。哀あわれみだろうか?
「残念ですが、ポッター、これが私わたくしの最終決定です。早く行かないと、次のクラスに遅おくれますよ」
万ばん事じ休きゅうす。ロンがマクゴナガル先生に対して悪あっ口こう雑ぞう言ごんのかぎりをぶちまけたので、ハーマイオニーがいやがった。そのハーマイオニーの「これでよかったのよ」という顔がロンをますます怒らせた。一方ハリーは、ホグズミードに行ったらまず何をするかと、みんなが楽しそうに騒いでいるのをじっと耐たえなければならなかった。
「ご馳走ちそうがあるさ」ハリーを慰なぐさめようとして、ロンが言った。
「ね、ハロウィーンのご馳走が、その日の夜に」
「ウン」ハリーは暗い声で言った。「素敵すてきだよ」