「楽しい話に移ろうかの」
ダンブルドアが言葉を続けた。
「今学期から、うれしいことに、新しん任にんの先生を二人、お迎むかえすることになった」
「まず、ルーピン先生。ありがたいことに、空席になっている『闇やみの魔ま術じゅつに対する防ぼう衛えい術じゅつ』の担当をお引き受けくださった」
パラパラとあまり気のない拍はく手しゅが起こった。ルーピン先生と同じコンパートメントに居い合あわせた生徒だけが、ハリーも含ふくめて、大きな拍手をした。ルーピン先生は、一いっ帳ちょう羅らを着き込こんだ先生方の間で、いっそうみすぼらしく見えた。
「スネイプを見てみろよ」ロンがハリーの耳元で囁ささやいた。
「魔ま法ほう薬やく学がく」のスネイプ先生が教きょう職しょく員いんテーブルの向こう側からルーピン先生のほうを睨にらんでいた。スネイプが「闇の魔術に対する防衛術」の席を狙ねらっているのは周しゅう知ちの事実だった。それでも、頬ほおのこけた土つち気け色いろの顔を歪ゆがめているスネイプのいまの表情には、スネイプが大嫌いなハリーでさえ、どきりとするものがあった。怒りを通り越こして、憎にくしみの表情だ。ハリーにはおなじみの、あの表情、スネイプがハリーを見るときの目つきそのものだ。
「もう一人の新しん任にんの先生は」
ルーピン先生へのパッとしない拍はく手しゅがやむのを待って、ダンブルドアが続けた。
「ケトルバーン先生は『魔法まほう生せい物ぶつ飼し育いく学がく』の先生じゃったが、残念ながら前年度末をもって退たい職しょくなさることになった。手足が一本でも残っているうちに余生よせいを楽しまれたいとのことじゃ。そこで後こう任にんじゃが、うれしいことに、ほかならぬルビウス・ハグリッドが、現げん職しょくの森番役に加えて教きょう鞭べんを取ってくださることになった」