ハロウィーンのご馳走はいつだってすばらしい。でも、みんなと一いっ緒しょにホグズミードで一日過ごしたあとで食べるほうがもっとおいしいに決まっている。誰が何と慰なぐさめようと、独ひとりぼっちで取り残されるハリーの気持は晴れなかった。ディーン・トーマスは羽は根ねペン使いがうまかったし、許可証にバーノンおじさんの偽にせサインをしようと言ってくれた。しかし、ハリーはもう、マクゴナガル先生にサインがもらえなかったと言ってしまったので、この手は使えない。ロンは「透とう明めいマント」はどうか、と中ちゅう途と半はん端ぱな提てい案あんをしたが、ハーマイオニーに踏ふみつぶされた。ダンブルドアが、吸魂鬼ディメンターは透明マントでもお見通みとおしだと言ったじゃない、とロンに思い出させたのだ。パーシーは慰なぐさめにならない最低の慰め方をした。
「ホグズミードのことをみんな騒ぎたてるけど、ハリー、僕ぼくが保ほ証しょうする。評ひょう判ばんほどじゃない」真顔まがおでそう言った。
「いいかい。菓か子しの店はかなりいけるな。しかし、ゾンコの『悪戯いたずら専せん門もん店てん』は、はっきり言って危険きけんだ。それに、そう、『叫さけびの屋敷やしき』は一度行ってみる価か値ちはあるな。だけど、ハリー、それ以外は、本当に大したものはないよ」
ハロウィーンの朝、ハリーはみんなと一いっ緒しょに起き、なるべく普段ふだんどおりに取りつくろって、最低の気分だったが、みんなと朝食に下りていった。
「ハニーデュークスからお菓子をたくさん持ってきてあげるわ」ハーマイオニーが、心しん底そこ気の毒どくそうな顔をしながら言った。
「ウン、たーくさん」ロンも言った。二人は、ハリーの落らく胆たんぶりを見て、クルックシャンクス論ろん争そうをついに水に流した。
「僕のことは気にしないで」ハリーは精せい一いっ杯ぱい平気を装よそおった。「パーティーで会おう。楽しんできて」