「灯あかりを消すぞ!」パーシーが怒ど鳴なった。「全員寝ね袋ぶくろに入って、おしゃべりはやめ!」
蝋ろう燭そくの灯ひがいっせいに消えた。残された明りは、ふわふわ漂ただよいながら監かん督とく生せいたちと深しん刻こくな話をしている銀色のゴーストと、城の外の空と同じように星がまたたく魔法の天てん井じょうの光だけだった。そんな薄うす明あかりの中、大おお広ひろ間まにひそひそと流れ続ける囁ささやきの中で、ハリーはまるで静かな風の吹く戸外こがいに横たわっているような気持になった。
一時間ごとに先生が一人ずつ大広間に入ってきて、何事もないかどうか確かめた。やっとみんなが寝静ねしずまった朝の三時ごろ、ダンブルドア校長が入ってきた。ハリーが見ていると、ダンブルドアはパーシーを探していた。パーシーは寝袋の間を巡じゅん回かいして、おしゃべりをやめさせていた。パーシーはハリーやロン、ハーマイオニーのすぐ近くにいたが、ダンブルドアの足音が近づいてきたので、三人とも急いで狸たぬき寝ね入いりをした。
「先生、何か手がかりは?」パーシーが低い声で尋たずねた。
「いや。ここは大だい丈じょう夫ぶかの?」
「異い常じょうなしです。先生」
「よろしい。何もいますぐ全員を移動させることはあるまい。グリフィンドールの門番には臨時りんじの者を見つけておいた。明日になったら皆を寮りょうに移動させるがよい」
「それで、『太った婦人レディ』は?」
「三階のアーガイルシャーの地図の絵に隠れておる。合あい言こと葉ばを言わないブラックを通すのを拒こばんだらしいのう。それでブラックが襲おそった。『婦人レディ』はまだ非常に動どう転てんしておるが、落ち着いてきたらフィルチに言って『婦人レディ』を修しゅう復ふくさせようぞ」