「聞いてくれよ。あの×××」(ロンがスネイプを「×××」と呼んだので、ハーマイオニーは「ロン!」と叫さけんだ)「×××が僕ぼくに何をさせると思う? 医い務む室しつのおまるを磨みがかせられるんだ。魔法なしだぜ!」ロンは拳こぶしを握にぎりしめ、息を深く吸い込こんだ。
「ブラックがスネイプの研けん究きゅう室しつに隠れててくれたらなぁ。な? そしたらスネイプを始末しまつしてくれたかもしれないよ!」
次の日、ハリーは早はや々ばやと目が覚めた。まだ外は暗かった。一いっ瞬しゅん、風の唸うなりで目が覚めたかと思った。が、次の瞬しゅん間かん、首の後ろに冷たい風が吹ふきつけるのを感じて、ハリーはガバッと起き上がった。――ポルターガイストのピーブズがすぐそばに浮かんでいて、ハリーの耳元に息を吹きつけていた。
「どうしてそんなことをするんだい?」ハリーは怒った。
ピーブズは頬ほおを膨ふくらませ、勢いよくもうひと吹きし、ケタケタ笑いながら吹いた息の反動で後こう退たいして、部屋から出ていった。
ハリーは手探りで目覚し時計を見つけ、時間を見た。四時半。ピーブズを罵ののしりながら、ハリーは寝返ねがえりを打ち、眠ろうとした。しかし、いったん目が覚めてしまうと、ゴロゴロという雷らい鳴めいや、城の壁かべを打つ風の音、遠くの「禁きんじられた森」の木々の軋きしみ合う音が耳について振り払えない。あと数時間で、ハリーはこの風を突いて、クィディッチ・ピッチに出ていくのだ。ついにハリーは寝るのを諦あきらめ、起き上がって服を着た。ニンバス2000を手にして、ハリーはそっと寝しん室しつを出た。
寝室のドアを開けたとたん、ハリーの足元を何かがかすった。間かん一いっ髪ぱつ、屈かがんで捕つかまえたのはクルックシャンクスのぼさぼさの尻尾しっぽだった。そのまま部屋の外に引ひっ張ぱり出した。