学期が終わる二週間前、急に空が明るくなり、眩まぶしい乳にゅう白はく色しょくになったかと思うと、ある朝、泥どろんこの校庭がキラキラ光る霜しも柱ばしらに覆おおわれていた。城の中はクリスマス・ムードで満ち溢あふれていた。「呪じゅ文もん学がく」のフリットウィック先生は、もう自分の教室にチラチラ瞬またたくライトを飾りつけていたが、これが実は本物の妖よう精せいが羽をパタパタさせている光だった。みんなが休み中の計画を楽しげに語り合っていた。ロンもハーマイオニーもホグワーツに居残いのこることに決めていた。ロンは「二週間もパーシーと一いっ緒しょに過ごすんじゃかなわないからさ」と言ったし、ハーマイオニーはどうしても図書室を使う必要があるのだと言い張はったが、ハリーにはよくわかっていた。――ハリーのそばにいるために居残るのだ。ハリーにはそれがとてもうれしかった。
学期の最後の週末にホグズミード行きが許され、ハリー以外のみんなは大喜びした。
「クリスマス・ショッピングが全部あそこですませられるわ!」ハーマイオニーが言った。
「パパもママも、ハニーデュークス店の『歯みがき糸いと楊枝ようじ型がたミント菓子か し』がきっと気に入ると思うわ!」
三年生の中で学校に取り残されるのは自分一人だろうと覚悟かくごを決め、ハリーはウッドから「賢かしこい箒ほうきの選び方かた」の本を借り、箒の種類について読書してその日を過ごすことにした。チームの練習では学校の箒を借りて乗っていたが、骨こっ董とう品ひんものの「流れ星」は恐ろしく遅おそくて動きがぎくしゃくしていた。どうしても新しい自分の箒が一本必要だった。
ホグズミード行きの土曜の朝、マントやスカーフにすっぽりくるまったロンとハーマイオニーに別れを告げ、ハリーは独ひとりで大だい理り石せきの階段を上り、またグリフィンドール塔とうに向かっていた。窓の外には雪がちらつきはじめ、城の中はしんと静まり返っていた。