「ホグズミードに直行さ」フレッドが指でそのうちの一ひとつをたどりながら言った。
「全部で七つの道がある。ところがフィルチはそのうち四つを知っている。――」フレッドは指で四つを示した。「――しかし、残りの道を知っているのは絶ぜっ対たい俺たちだけだ。五階の鏡の裏うらからの道はやめとけ。僕たちが去年の冬までは利用していたけど、崩くずれっちまった。――完全にふさがってる。それから、こっちの道は誰も使ったことがないと思うな。なにしろ「暴あばれ柳やなぎ」がその入口の真上に植うわってる。しかし、こっちのこの道、これはハニーデュークス店の地下室に直通だ。僕たち、この道は何回も使った。それに、もうわかってると思うが、入口はこの部屋のすぐ外、隻せき眼がんの魔女ばあさんのコブなんだ」
「ムーニー、ワームテール、パッドフット、プロングズ」
地図の上に書いてある名前を撫なでながらジョージがため息をついた。
「われわれはこの諸しょ兄けいにどんなにご恩おんを受けたことか」
「気高けだかき人々よ。後こう輩はいの無法むほう者ものを助けんがため、かくのごとく労を惜おしまず」
フレッドが厳おごそかに言った。
「というわけで」ジョージがきびきびと言った。「使ったあとは忘れずに消しとけよ――」
「――じゃないと、誰かに読まれっちまう」フレッドが警けい告こくした。
「もう一度地図を軽く叩たたいて、こう言えよ。『いたずら完了!』。すると地図は消される」
「それではハリー君よ」フレッドが、気味が悪いほどパーシーそっくりのものまねをした。
「行動を慎つつしんでくれたまえ」
「ハニーデュークスで会おう」ジョージがウィンクした。
二人は満足げにニヤリと笑いながら部屋を出ていった。