沈ちん黙もくが流れた。クルックシャンクスがその間に悠ゆう々ゆうと伸びをし、爪つめを曲げ伸ばした。ロンのポケットが小刻こきざみに震ふるえた。
「さあ」ロンがとにかく話題を変えようと慌あわてて切り出した。
「休みだ! もうすぐクリスマスだ! それじゃ――それじゃハグリッドの小屋に行こうよ。もう何百年も会ってないよ!」
「ダメ!」ハーマイオニーがすぐ言った。「ハリーは城を離はなれちゃいけないのよ、ロン――」
「よし、行こう」ハリーが身を起こした。「そしたら僕、聞くんだ。ハグリッドが僕の両親のことを全部話してくれた時、どうしてブラックのことを黙だまっていたのかって!」
ブラックの話がまた持ち出されることは、まったくロンの計算に入っていなかった。
「じゃなきゃ、チェスの試合をしてもいいな」ロンが、また慌てて言った。「それともゴブストーン・ゲームとか。パーシーが一いっ式しき忘れていったんだ――」
「いや、ハグリッドのところへ行こう」ハリーは言い張はった。
そこで三人とも寮りょうの寝しん室しつからマントを取ってきて、肖しょう像ぞう画がの穴をくぐり(「立て、戦え、臆おく病びょう犬いぬども!」)、がらんとした城を抜け、樫かしの木の正しょう面めん扉とびらを通って出発した。
キラキラ光るパウダー・スノーに浅い小道を掘ほり込こみながら、三人はゆっくりと芝生しばふを下った。靴くつ下したもマントの裾すそも濡ぬれて凍こおりついた。「禁きんじられた森」の木々はうっすらと銀色に輝かがやき、まるで森全体が魔法にかけられたようだったし、ハグリッドの小屋は粉こな砂ざ糖とうのかかったケーキのようだった。
ロンがノックしたが、答えがない。