ハグリッドのすすり泣きが二倍になった。そして手紙をハリーのほうに押してよこした。ハリーはそれを取って読み上げた。
ハグリッド殿どの
ヒッポグリフが貴殿きでんの授じゅ業ぎょうで生徒を攻こう撃げきした件についての調査で、この残念な不ふ祥しょう事じについて、貴殿には何ら責任はないとするダンブルドア校長の保ほ証しょうを我われ々われは受け入れることに決定いたしました。
「じゃ、オッケーだ。よかったじゃないか、ハグリッド!」
ロンがハグリッドの肩を叩たたいた。しかし、ハグリッドは泣き続け、でかい手を振って、ハリーに先を読むように促うながした。
しかしながら、我々は、当とう該がいヒッポグリフに対し、懸念けねんを表明せざるをえません。我々はルシウス・マルフォイ氏の正式な訴うったえを受け入れることを決定しました。従いまして、この件は、「危険きけん生せい物ぶつ処理しょり委い員いん会かい」に付託ふたくされることになります。事じ情じょう聴ちょう取しゅは四月二十日に行われます。当日、ヒッポグリフを伴ともない、ロンドンの当とう委い員いん会かい事じ務む所しょまで出しゅっ頭とう願います。それまでヒッポグリフは隔離かくりし、つないでおかなければなりません。
敬具けいぐ
手紙のあとに学校の理り事じの名前が連つらねてあった。
「ウーン」ロンが言った。
「だけど、ハグリッド、バックビークは悪いヒッポグリフじゃないって、そう言ってたじゃないか。絶ぜっ対たい、無む罪ざい放ほう免めん――」
「おまえさんは『危険きけん生せい物ぶつ処理しょり委い員いん会かい』ちゅうとこの怪かい物ぶつどもを知らんのだ!」
ハグリッドは袖そでで目を拭ぬぐいながら、喉のどを詰つまらせた。
「連中はおもしれぇ生き物もんを目の敵かたきにしてきた!」
突然、小屋の隅すみから物音がして、ハリー、ロン、ハーマイオニーが弾はじかれたように振り返った。ヒッポグリフのバックビークが隅のほうに寝そべって、何かをバリバリ食いちぎっている。その血が床一面に滲にじみ出していた。