ハグリッドの小屋に行っても、ちっとも楽しくはなかったが、ロンとハーマイオニーが期待したような成果はあった。ハリーはけっしてブラックのことを忘れたわけではないが、「危険きけん生せい物ぶつ処理しょり委い員いん会かい」でハグリッドが勝つ手助けをしたいと思えば、復ふく讐しゅうのことばかり考えているわけにはいかなかった。
翌よく日じつハリーは、ロンやハーマイオニーと一いっ緒しょに図書室に行った。がらんとした談だん話わ室しつにまた戻ってきた時には、バックビークの弁護べんごに役立ちそうな本を、どっさり抱かかえていた。威勢いせいよく燃えさかる暖炉だんろの前に三人で座り込こみ、動物による襲しゅう撃げきに関する有名な事件を書いた、埃ほこりっぽい書物のページを一枚一枚めくった。ときどき、何か関係のありそうなものが見つかると言葉を交かわした。
「これはどうかな……一七二二年の事件……あ、ヒッポグリフは有ゆう罪ざいだった。――ウヮー、それで連中がどうしたか、気持悪いよ――」
「これはいけるかもしれないわ。えーと――一二九六年、マンティコア、ほら頭は人間、胴どうはライオン、尾はサソリのあれ、これが誰かを傷きずつけたけど、マンティコアは放ほう免めんになった。――あ――だめ。なぜ放はなたれたかというと、みんな怖こわがってそばによれなかったんですって……」
そうこうする間に、城ではいつもの大がかりなクリスマスの飾りつけが進んでいた――それを楽しむはずの生徒はほとんど学校に残っていなかったが。柊ひいらぎや宿やどり木ぎを編あみ込こんだ太いリボンが廊下ろうかにぐるりと張はり巡めぐらされ、鎧よろいという鎧の中からは神しん秘ぴ的てきな灯あかりがきらめき、大おお広ひろ間まにはいつものように、金色に輝かがやく星を飾った十二本のクリスマス・ツリーが立ち並んだ。おいしそうな匂においが廊下中にたちこめ、クリスマス・イブにはそれが最さい高こう潮ちょうに達したので、あのスキャバーズでさえ、避難ひなんしていたロンのポケットの中から鼻先を突き出して、ひくひくと期待を込めて匂いを嗅かいだ。
クリスマスの朝、ハリーはロンに枕を投げつけられて目が覚めた。
「おい! プレゼントがあるぞ!」