「何もない。おっどろいた。いったい誰がこんな大金を君のために使ったんだろう?」
「そうだな」ハリーはぼーっとしていた。「賭かけてもいいけど、ダーズリーじゃないよ」
「ダンブルドアじゃないかな」
ロンはファイアボルトの周まわりをぐるぐる歩いて、その輝かがやくばかりの箒ほうきを隅すみ々ずみまで眺ながめた。
「名前を伏ふせて君に『透とう明めいマント』を送ってきたし……」
「だけど、あれは僕ぼくの父さんのだったし。ダンブルドアはただ僕に渡わたしてくれただけだ。何百ガリオンもの金貨きんかを、僕のために使ったりするはずがない。生徒にこんな高価こうかなものをくれたりできないよ――」
「だから、自分からの贈おくり物だって言わないんじゃないか! マルフォイみたいな下げ衆すが、先生は贔屓ひいきしてるなんて言うかもしれないだろ。そうだ、ハリー――」
ロンは歓かん声せいをあげて笑った。
「マルフォイのやつ! 君がこの箒に乗ったら、どんな顔するか! きっとナメクジに塩だ! 国こく際さい試じ合あい級きゅうの箒なんだぜ。こいつは!」
「夢じゃないか」
ハリーはファイアボルトを撫なでさすりながらつぶやいた。ロンは、マルフォイのことを考えて、ハリーのベッドで笑い転ころげていた。
「いったい誰なんだろう――?」
「わかった」笑いをなんとか抑おさえて、ロンが言った。
「たぶんこの人だな――ルーピン!」
「えっ?」今度はハリーが笑いはじめた。
「ルーピン? まさか。そんな金があるなら、ルーピンは新しいローブくらい買ってるよ」
「ウン、だけど、君を好いてる。それに、君のニンバス2000が玉ぎょく砕さいした時、ルーピンはどっかに行ってていなかった。もしかしたら、そのことを聞きつけて、ダイアゴン横よこ丁ちょうに行って、これを君のために買おうって決心したのかもしれない――」
「いなかったって、どういう意味?」ハリーが聞いた。「ルーピンは僕があの試合に出てた時、病気だったよ」
「ウーン、でも病びょう棟とうにはいなかった。僕、スネイプの罰ばっ則そくで、病棟でおまるを掃除してたんだ。覚えてるだろ?」
「ルーピンにこんな物を買うお金はないよ」ハリーはロンのほうを見て顔をしかめた。
「二人して、何笑ってるの?」
ハーマイオニーが入ってきたところだった。ガウンを着て、クルックシャンクスを抱いている。クルックシャンクスは、首に光るティンセルのリボンを結ばれて、ブスッとしていた。
“我打赌是邓布利多,”罗恩说,绕着辉煌的火弩箭走了又走,从头到尾看了个仔细,“他不是匿名给你送过隐形衣吗?”
“不过那是我爸爸的呀,”哈利说,“邓布利多只是把它交给我罢了。他不会在我身上花这么多钱的。他可不能给学生这样贵重的东西。”
罗恩这时躺到哈利的床上,想到马尔福会是什么模样就笑得气都喘不过来。