「校長先生、あたくし、とても座れませんわ! あたくしがテーブルに着けば、十三人になってしまいます! こんな不吉な数はありませんわ! お忘れになってはいけません。十三人が食事をともにするとき、最初に席を立つ者が最初に死ぬのですわ!」
「シビル、その危険きけんを冒おかしましょう」マクゴナガル先生はイライラしていた。
「かまわずお座りなさい。七しち面めん鳥ちょうが冷ひえきってしまいますよ」
トレローニー先生は迷った末、空あいている席に腰掛かけた。目を堅かたく閉じ、口をきっと結んで、まるでいまにもテーブルに雷かみなりが落ちるのを予想しているかのようだ。マクゴナガル先生は手近のスープ鍋なべにさじを突っ込こんだ。
「シビル、臓ぞう物もつスープはいかが?」
トレローニー先生は返事をしなかった。目を開け、もう一度周まわりを見回して尋たずねた。
「あら、ルーピン先生はどうなさいましたの?」
「気の毒どくに、先生はまたご病気での」
ダンブルドアはみんなに食事をするよう促うながしながら言った。
「クリスマスにこんなことが起こるとは、まったく不幸なことじゃ」
「でも、シビル、あなたはとうにそれをご存知ぞんじだったはずね?」
マクゴナガル先生は眉根まゆねをぴくりと持ち上げて言った。
トレローニー先生は冷ひややかにマクゴナガル先生を見た。
「もちろん、存ぞんじてましたわ。ミネルバ」トレローニー先生は落ち着いていた。
「でも、『すべてを悟さとれる者』であることを、披瀝ひけらかしたりはしないものですわ。あたくし、『内なる眼め』を持っていないかのように振舞ふるまうことがたびたびありますのよ。ほかの方かたたちを怖こわがらせてはなりませんもの」
「それですべてがよくわかりましたわ!」マクゴナガル先生はぴりっと言った。
霧きりのかなたからだったトレローニー先生の声から、とたんに霧が薄うすれた。
「ミネルバ、どうしてもとおっしゃるなら、あたくしの見るところ、ルーピン先生はお気の毒に、もう長いことはありません。あの方自身も先が短いとお気づきのようです。あたくしが水すい晶しょう玉だまで占うらなってさし上げると申しましたら、まるで逃げるようになさいましたの――」
「そうでしょうとも」マクゴナガル先生はさりげなく辛しん辣らつだ。