ハリーはまっすぐに寝しん室しつに行き、ファイアボルトと、ハーマイオニーが誕たん生じょう日びにくれた「箒ほうき磨みがきセット」を持って談だん話わ室しつに下りてきた。どこか手入れするところはないかと探したが、曲がった小枝がないので切りそろえる必要もなく、柄えはすでにピカピカで磨みがく意味もない。ロンと一いっ緒しょに、ハリーはただそこに座り込こみ、あらゆる角度から箒に見とれていた。すると肖しょう像ぞう画がの穴が開いて、ハーマイオニーが入ってきた。マクゴナガル先生と一緒だった。
マクゴナガル先生はグリフィンドールの寮りょう監かんだったが、ハリーが談話室で先生の姿を見たのはたった一度、あれはとても深しん刻こくな知らせを発表したときだった。ハリーもロンもファイアボルトをつかんだまま先生を見つめた。ハーマイオニーは二人を避さけるように歩いていき、座り込み、手近な本を拾い上げてその陰かげに顔を隠した。
「これが、そうなのですね?」
マクゴナガル先生はファイアボルトを見つめ、暖炉だんろのほうに近づきながら、目をキラキラさせた。
「ミス・グレンジャーがたったいま、知らせてくれました。ポッター、あなたに箒ほうきが送られてきたそうですね」
ハリーとロンは、振り返ってハーマイオニーを見た。額ひたいの部分だけが本の上から覗のぞいていたが、見る見る赤くなり、本は逆さかさまだった。
「ちょっと、よろしいですか?」
マクゴナガル先生はそう言いながら、答えも待たずにファイアボルトを二人の手から取り上げた。先生は箒の柄えから尾の先まで、丁てい寧ねいに調べた。
「フーム。それで、ポッター、何のメモもついていなかったのですね? カードは? 何か伝でん言ごんとか、そういうものは?」
「いいえ」ハリーはポカンとしていた。
「そうですか……」マクゴナガル先生は言葉を切った。
「さて、ポッター、これは預からせてもらいますよ」
「な――なんですって?」ハリーは慌あわてて立ち上がった。
「どうして?」