ハリーの頭の中で、また悲鳴ひめいが聞こえはじめた。――しかし、今度は、周しゅう波は数すうの合わないラジオの音のようだ。低く、高く、また低く……しかも、ハリーにはまだ吸魂鬼ディメンターが見えていた。……吸魂鬼が立ち止まった。……そして、大きな、銀色の影かげがハリーの杖つえの先から飛び出し、吸魂鬼とハリーの間に漂ただよった。足の感覚はなかったが、ハリーはまだ立っている……あとどのくらい持ちこたえられるかはわからない……。
「リディクラス!」ルーピンが飛び出してきて叫さけんだ。
バチンと大きな音がして、吸魂鬼が消え、もやもやしたハリーの守護霊も消えた。ハリーは椅い子すにくずおれた。足は震ふるえ、何キロも走ったあとのように疲れきっていた。見るともなく見ていると、ルーピン先生が自分の杖で、まボねガ妖ー怪トを箱に押し戻もどしているところだった。まね妖怪は、また銀色の玉に変わっていた。
「よくやった!」へたり込こんでいるハリーのところへ、ルーピン先生が大おお股またで歩いてきた。
「よくできたよ、ハリー! 立派なスタートだ!」
「もう一回やってもいいですか? もう一度だけ?」
「いや、いまはだめだ」ルーピンがきっぱり言った。
「一ひと晩ばんにしては十分すぎるほどだ。さあ――」
ルーピンはハニーデュークス菓か子し店の大きな最高級板チョコを一枚、ハリーに渡わたした。
「全部食べなさい。そうしないと、私はマダム・ポンフリーにこっぴどくお仕し置おきされてしまう。来週、また同じ時間でいいかな?」
「はい」ハリーはチョコレートをかじりながら、ルーピンがランプを消すのを見ていた。吸魂鬼が消えると、ランプは元どおりに灯ひが点ともっていたのだ。
「ルーピン先生?」ハリーがあることを思いついた。「僕ぼくの父をご存知ぞんじなら、シリウス・ブラックのこともご存知なのでしょう」
ルーピンがぎくりと振り返った。
「どうしてそう思うんだね?」きつい口く調ちょうだった。
「別に――ただ、僕、父とブラックがホグワーツで友達だったって知ってるだけです」
ルーピンの表情が和やわらいだ。
「ああ、知っていた」さらりとした答えだ。「知っていると思っていた、と言うべきかな。ハリー、もう帰ったほうがいい。だいぶ遅おそくなった」
“滑稽滑稽!”卢平吼着,往前跳去。
一声响亮的噼啪声,哈利那雾蒙蒙的守护神和摄魂怪一起消失了;他一下子坐进椅子里,累得好像刚跑了一英里似的,两条腿直抖。他从眼角看见卢平教授用魔杖把那博格特逼回了包装箱,那博格特又变成一个银色的球体。
“棒极了!”卢平说,大步走到哈利坐的地方。“棒极了,哈利!这肯定是好的开始!”
“我们能再试一次吗?就一次好吗?”
他递给哈利一大块蜂蜜公爵店里最好的巧克力。
“把它全吃了,要不然庞弗雷夫人要找我算账了。下星期这时候怎么样?”
“好。”哈利说。他咬了一口巧克力,看着卢平熄灭那些随着摄魂怪的消失而复明的灯。他忽然有个想法。
“卢平教授?”他说,“如果您认识我爸爸,那您也一定认识小天狼星布莱克了。”
卢平迅速回过身来。
“你怎么会想起这个?”他尖锐地问。
卢平的脸色不紧张了。
“是的,我认识他,”他简短地说,“要不然就是我认为我认识。你不如快走吧,哈利,时间不早了。”