レイブンクロー対スリザリン戦が、学期が始まってから一週間目に行われた。スリザリンが勝った。僅差きんさだったが。ウッドによれば、これはグリフィンドールには喜ばしいことだった。グリフィンドールがレイブンクローを破れば、グリフィンドールが二位に浮上する。そこでウッドはチーム練習を週五日に増やした。こうなると、ルーピンの吸魂鬼ディメンター防ぼう衛えい術じゅつの練習――これだけでクィディッチの練習六回分より消しょう耗もうする――を加えると、ハリーは一ひと晩ばんで一週間の宿題全部をこなさなければならなかった。それでも、ハーマイオニーに比べれば、ハリーのストレスはあまり表に出ていなかった。さすがのハーマイオニーも、膨ぼう大だいな負担ふたんがついに応こたえはじめた。毎晩、必ず、談だん話わ室しつの片かた隅すみにハーマイオニーの姿があった。テーブルをいくつも占せん領りょうし、教科書やら、数かず占うらない表、古代こだいルーン語の辞書じしょやらマグルが重いものを持ち上げる図式、それに細かく書き込んだノートの山また山を広げていた。ほとんど誰とも口を利きかず、邪魔じゃまされると怒ど鳴なった。
「いったいどうやってるんだろ?」
ある晩、ハリーがスネイプの「検けん出しゅつできない毒どく薬やく」の厄やっ介かいなレポートを書いている時、ロンがハリーに向かってつぶやいた。ハリーは顔を上げた。うずたかく積まれたいまにも崩くずれそうな本の山に隠れて、ハーマイオニーの姿はほとんど見えない。
「何を?」
「あんなにたくさんのクラスをさ」ロンが言った。
「今朝、ハーマイオニーが『数占い』のベクトル先生と話してるのを聞いちゃったんだ。昨日きのうの授じゅ業ぎょうのことを話してるのさ。だけど、ハーマイオニーは昨日その授業に出られるはずないよ。だって、僕ぼくたちと一いっ緒しょに『魔法まほう生せい物ぶつ飼し育いく学がく』にいたんだから。それに、アーニー・マクミランが言ってたけど、『マグル学』のクラスも休んだことがないって。だけど、そのうち半分は『占うらない学』とおんなじ時間なんだぜ。こっちも皆かい勤きんじゃないか!」