「うーん……本当のことを知っている者は、もう口が利きけない状じょう態たいになっている。つまり、吸魂鬼が頭巾をとるときは、最後の最悪の武器を使うときなんだ」
「どんな武器ですか?」
「『吸魂鬼ディメンターの接キ吻ス』と呼ばれている」ルーピンはちょっと皮肉ひにくな笑みを浮かべた。
「吸魂鬼は、徹てっ底てい的てきに破滅はめつさせたい者に対してこれを実行する。たぶんあの下には口のようなものがあるのだろう。やつらは獲物えものの口を自分の上下の顎あごで挟はさみ、そして――餌食えじきの魂たましいを吸い取る」
ハリーは思わずバタービールを吐はき出した。
「えっ――殺す――?」
「いや、そうじゃない。もっとひどい。魂がなくても生きられる。脳や心臓がまだ動いていればね。しかし、もはや自分が誰なのかわからない。記憶きおくもない、まったく……何にもない。回かい復ふくの見み込こみもない。ただ――存在するだけだ。空からっぽの抜ぬけ殻がらとなって。魂たましいは永遠に戻もどらず……失われる」
ルーピンはまた一ひと口くちバタービールを飲み、先を続けた。
「シリウス・ブラックを待ち受ける運命がそれだ。今朝の『日にっ刊かん予よ言げん者しゃ新しん聞ぶん』に載のっていたよ。魔ま法ほう省しょうが吸魂鬼ディメンターに対して、ブラックを見つけたらそれを執しっ行こうすることを許可きょかしたようだ」
魂を口から吸い取られる。――それを思うだけで、ハリーは一いっ瞬しゅん呆ぼう然ぜんとした。それからブラックのことを考えた。
「当然の報むくいだ」ハリーが出し抜けに言った。
「そう思うかい?」ルーピンはさらりと言った。「それを当然の報いと言える人間が本当にいると思うかい?」
「はい」ハリーは挑ちょう戦せんするように言った。「そんな……そんな場合もあります……」
ハリーはルーピンに話してしまいたかった。「三本の箒ほうき」で漏もれ聞いてしまったブラックについての会話のこと、そして、ブラックが自分の父と母を裏切うらぎったことを。しかし、それを打ち明ければ、許可なしにホグズミードに行ったことがわかってしまう。ルーピンはそれを知ったら感心しないだろうと、ハリーにはわかっていた。ハリーはバタービールを飲み干ほし、ルーピンにお礼を言って「魔ま法ほう史し」の教室を離はなれた。
“那是什么?”
哈利不觉吐出一点黄油啤酒来。
“什么—— 它们杀—— ?”
“哦,不是的,”卢平说,“比杀死还要糟。你知道,只要你的脑子和心脏还在工作,你就能没有灵魂而活下去。但你不再有自我感觉了,你也没有了记忆,没有了......什么都没有了。根本没有机会复原。你就是—— 就是活着罢了。行尸走肉而已。你的灵魂就此..万劫不复。”卢平又喝了一点黄油啤酒,然后说:“这就是小天狼星布莱克的未来命运。今天早晨的《预言家日报》是这么说的。魔法部已经答应摄魂怪们捉到布莱克以后就这样做。”
哈利想着从嘴里把人的灵魂吸走的事,不觉坐在那里目瞪口呆了一会儿。不过他想到了布莱克。
“他活该。”他忽然说。
“你这样想吗?”卢平轻轻地问,“你真的认为有人活该这样吗?”