「君は、マルフォイ君をずいぶん怖こわがらせたようだよ」ルーピンが言った。
ハリーは目を丸くした。マルフォイ、クラッブ、ゴイル、それにスリザリン・チームのキャプテン、マーカス・フリントが、折おり重かさなるようにして地面に転ころがっていた。頭巾ずきんのついた長い黒いローブを脱ごうとしてみんなバタバタしていた。マルフォイはゴイルに肩かた車ぐるまされていたようだ。四人を見下ろすように、憤怒ふんぬの形ぎょう相そうもすさまじく、マクゴナガル先生が立っていた。
「あさましい悪いた戯ずらです!」先生が叫んだ。「グリフィンドールのシーカーに危害きがいを加えようとは、下劣げれつな卑いやしい行為こういです! みんな処しょ罰ばつします。さらに、スリザリン寮りょうは五十点減げん点てん! このことはダンブルドア先生にお話しします。間違いなく! あぁ、噂うわさをすればいらっしゃいました!」
グリフィンドールの勝利に完かん璧ぺきな落ちがつけられたとすれば、それはまさにこの場の光景だ。マルフォイがローブから脱出しようともたもたもがき、ゴイルの頭はまだローブに突っ込こまれたままだ。ロンはハリーに近づこうと人混ひとごみをかき分けて出てきたが、ハリーと二人でこのありさまを見て、腹を抱かかえて笑った。
「来いよ、ハリー!」ジョージもこちらへ来ようと人混みをかき分けながら呼びかけた。
「パーティーだ! グリフィンドールの談だん話わ室しつで、すぐにだ!」
「オッケー」ここしばらくなかったような幸せな気分を噛かみしめながら、ハリーが答えた。まだ紅くれない色いろのユニフォームを着たままの選手全員と、ハリーとを先頭にして、一いっ行こうは競きょう技ぎ場じょうを出て、城への道を戻もどった。