まるで、もうクィディッチ優ゆう勝しょう杯はいを取ったかのようだった。パーティーはそれから一日中、そして夜になっても続いた。フレッドとジョージ・ウィーズリーは一、二時間いなくなったかと思うと、両手一いっ杯ぱいに、バタービールの瓶びんやら、かぼちゃフィズ、ハニーデュークス店の菓か子しが詰つまった袋を数個、抱かかえて戻もどってきた。
ジョージが蛙かえるミントをばら撒まきはじめた時、アンジェリーナ・ジョンソンが甲かん高だかい声で聞いた。
「いったいどうやったの?」
「ちょっと助けてもらったのさ。ムーニー、ワームテール、パッドフット、プロングズにね」
フレッドがハリーの耳にこっそり囁ささやいた。
たった一人祝しゅく宴えんに参加していない生徒がいた。なんと、ハーマイオニーは隅すみのほうに座って分厚ぶあつい本を読もうとしていた。本の題は「イギリスにおける、マグルの家庭生活と社会的慣かん習しゅう」だ。テーブルでは、フレッドとジョージがバタービールの瓶で曲きょく芸げいを始めたので、ハリーは一人そこを離はなれ、ハーマイオニーのそばに行った。
「試合にも来なかったのかい?」ハリーが聞いた。
「行きましたとも」ハーマイオニーは目を上げもせず、妙にキンキンした声で答えた。
「それに、私たちが勝ってとってもうれしいし、あなたはとてもよくやったわ。でも私、これを月曜までに読まないといけないの」
「いいから、ハーマイオニー、こっちへ来て、何か食べるといいよ」
ハリーはロンのほうを見て、矛ほこを収めそうないいムードになっているかな、と考えた。
「無む理りよ、ハリー。あと四二二ページも残ってるの!」
ハーマイオニーは、 今度は、少しヒステリー気ぎ味みに言った。
「どっちにしろ……」ハーマイオニーもロンをちらりと見た。「あの人が私に来てほしくないでしょ」
これは議論ぎろんの余よ地ちがなかった。ロンがこの瞬しゅん間かんを見計みはからったように、聞こえよがしに言った。
「スキャバーズが食われちゃってなければなぁ。ハエ型がたヌガーがもらえたのに。あいつ、これが好こう物ぶつだった――」
ハーマイオニーはわっと泣き出した。ハリーがおろおろ何もできないでいるうちに、ハーマイオニーは分厚ぶあつい本を脇わきに抱え、すすり泣きながら女子寮りょうへの階段のほうに走っていき、姿を消した。