「もう許してあげたら?」ハリーは静かにロンに言った。
「だめだ」ロンはきっぱり言った。
「あいつがごめんねっていう態度たいどならいいよ。――でもあいつ、ハーマイオニーのことだもの、自分が悪いって絶ぜっ対たい認めないだろうよ。あいつったら、スキャバーズが休きゅう暇かでいなくなったみたいな、いまだにそういう態度なんだ」
グリフィンドールのパーティーがついに終わったのは、午前一時。マクゴナガル先生がタータン・チェックの部へ屋や着ぎに、頭にヘア・ネットという姿で現れ、もう全員寝ねなさいと命令した時だ。ハリーとロンは寝しん室しつへの階段を上がる時も、まだ試合の話をしていた。ぐったり疲れて、ハリーはベッドに上がり、四よん本ほん柱ばしらに掛かかったカーテンを引き、ベッドに射さし込こむ月つき明あかりが入らないようにした。横になると、たちまち眠りに落ちていくのを感じた……。
とても奇き妙みょうな夢を見た。ハリーはファイアボルトを担かついで、何か銀色に光る白いものを追って森を歩いていた。その何かは前方の木立こだちの中へ、くねくねと進んでいった。葉の陰かげになって、ちらちらとしか見えない。追いつきたくて、ハリーはスピードを上げた。自分が速く歩くと、先を行く何かもスピードを上げる。ハリーは走りだした。前方に蹄ひづめの音が聞こえる。だんだん速くなる。ハリーは全速力で走っていた。前方の蹄の音が疾しっ走そうするのが聞こえた。ハリーは角かどを曲がって、空地あきちに出た。そして――。
「ああああああああああああああアアアアアアァァァァァァっっっッッッッッ! やめてえええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
顔面にパンチを受けたような気分で、ハリーは突とつ然ぜん目を覚ました。真っ暗な中で方向感かん覚かくを失い、ハリーはカーテンを闇やみ雲くもに引ひっ張ぱった。――周まわりで人が動く音が聞こえ、部屋の向こうからシェーマス・フィネガンの声がした。
「何事だ?」
ハリーは寝室のドアがバタンと閉まる音を聞いたような気がした。やっとカーテンの端はしを見つけて、ハリーはカーテンをバッと開けた。同時にディーン・トーマスがランプを点つけた。
ロンがベッドに起き上がっていた。カーテンが片側から切り裂さかれ、ロンは恐きょう怖ふで引きつった顔をしていた。