「ほう? 二人ともここで何をしているのかね?」
スネイプは足を止め、二人の顔を交互こうごに見た。
「奇き妙みょうなところで待ち合わせるものですな――」
スネイプの暗い目がさっと走り、二人の両側の出入口、それから隻せき眼がんの魔女の像に移ったので、ハリーは気が気ではなかった。
「僕たち――待ち合わせたのではありません。ただ――ここでばったり出会っただけです」
ハリーが言った。
「ほーう? ポッター。君はどうも予よ期きせぬ場所に現れる癖くせがあるようですな。しかもほとんどの場合、何も理由なくしてその場にいるということはない……。二人とも、自分のおるべき場所、グリフィンドール塔とうに戻もどりたまえ」
ハリーとネビルはそれ以上何も言わずにその場を離はなれた。角かどを曲がる時ハリーが振り返ると、スネイプは隻眼の魔女の頭を手でなぞり、念入ねんいりに調べていた。
「太った婦人レディ」の肖しょう像ぞう画がのところでネビルに合あい言こと葉ばを教え、吸血鬼バンパイヤのレポートを図書室に置き忘れたと言いい訳わけして、ハリーはやっとネビルを振りきり、もう一度、元来た道を戻った。警備けいびトロールの目の届かないところまで来ると、ハリーはまた地図を引ひっ張ぱり出し、顔にくっつくぐらいそばに引きよせてよくよく見た。
四階の廊下ろうかには誰もいないようだ。地図の隅すみ々ずみまで念入ねんいりに調べ、「セブルス・スネイプ」と書いてある小さな点が自分の研けん究きゅう室しつに戻っていることを知り、ハリーはようやくほっとした。
ハリーは大急ぎで隻眼の魔女像まで取って返し、コブを開けて中に入り、石の斜しゃ面めんを滑すべり降おりて、先に落としておいたカバンを拾った。「忍しのびの地ち図ず」を白紙に戻もどしてから、ハリーは駆かけだした。