「ホグワーツのゴーストでさえ近よらないんだ」二人で垣根かきねに寄より掛かかり、屋敷を見上げながら、ロンが言った。「僕、『ほとんど首無しニック』に聞いたんだ……そしたら、ものすごく荒っぽい連中がここに住みついていると聞いたことがあるってさ。だーれも入れやしない。フレッドとジョージは、当然、やってみたけど、入口は全部密みっ封ぷう状じょう態たいだって……」
坂を登ったので暑あつくなり、ハリーがちょっとの間透明マントを脱ごうかと考えていたちょうどその時、近くで人声がした。誰かが丘の反対側から屋敷のほうに登ってくる。まもなくマルフォイの姿が現れた。クラッブとゴイルが後ろにべったりくっついていて、マルフォイが何か話している。
「……父ちち上うえからのふくろう便がもう届いてもいいころだ。僕の腕うでのことで聴ちょう聞もん会かいに出席なさらなければならなかったんだ……三ヵ月も腕が使えなかった事じ情じょうを話すのに……」
クラッブとゴイルがクスクス笑った。
「あの毛むくじゃらのウスノロデカが、なんとか自じ己こ弁べん護ごしようとするのを聞いてみたいよ……『こいつは何も悪さはしねえです。ほんとですだ――』とか……あのヒッポグリフはもう死んだも同どう然ぜんだよ――」
マルフォイは突とつ然ぜんロンの姿に気づいた。青白いマルフォイの顔がニヤリと意い地じ悪わるく歪ゆがんだ。
「ウィーズリー、何してるんだい?」
マルフォイはロンの背後にあるボロ屋敷やしきを見上げた。
「さしずめ、ここに住みたいんだろうねえ。ウィーズリー、違うかい? 自分の部屋がほしいなんて夢見てるんだろう? 君の家じゃ、全員が一ひと部へ屋やで寝ねるって聞いたけど――ほんとかい?」
ハリーはロンのローブの後ろをつかんで、マルフォイに飛びかかろうとするロンを止めた。