「『闇の魔術』が詰まっている?」ルーピンが静かに繰くり返した。
「セブルス、本当にそう思うのかい? 私が見るところ、無む理りに読もうとする者を侮ぶ辱じょくするだけの羊よう皮ひ紙しにすぎないように見えるが。子供だましだが、けっして危険きけんじゃないだろう? ハリーは悪戯いたずら専せん門もん店てんで手に入れたのだと思うよ――」
「そうかね?」スネイプは怒りで顎あごが強こわばっていた。「悪戯専門店でこんな物をポッターに売ると、そう言うのかね? むしろ、直接に製せい作さく者しゃから入手した可か能のう性せいが高いとは思わんのか?」
ハリーにはスネイプの言っていることがわからなかった。ルーピンもわかっていないように見えた。
「ミスター・ワームテールとか、この連中の誰かからという意味か? ハリー、この中に誰か知っている人はいるかい?」ルーピンが聞いた。
「いいえ」ハリーは急いで答えた。
「セブルス、聞いただろう?」ルーピンはスネイプのほうを見た。「私にはゾンコの商品のように見えるがね――」
合図あいずを待っていたかのように、ロンが研けん究きゅう室しつに息せき切って飛び込んできた。スネイプの机の真ん前で止まり、胸を押さえながら、途と切ぎれ途切れにしゃべった。
「それ――僕ぼくが――ハリーに――あげたんです」ロンはむせ込んだ。「ゾンコで――ずいぶん前に――それを――買いました……」
「ほら!」ルーピンは手をポンと叩たたき、機嫌きげんよく周まわりを見回した。
「どうやらこれではっきりした! セブルス、これは私が引き取ろう。いいね?」
ルーピンは地図を丸めてローブの中にしまい込んだ。
「ハリー、ロン、一いっ緒しょにおいで。吸血鬼バンパイアのレポートについて話があるんだ。セブルス、失礼するよ」
研けん究きゅう室しつから出る時、ハリーはとてもスネイプを見る気にはなれなかった。ハリー、ロン、ルーピンは黙もく々もくと玄げん関かんホールまで歩いて、そこで初めて口を利きいた。ハリーがルーピンを見た。
“不认识。”哈利赶快说。