「先生、僕ぼく――」
「事じ情じょうを聞こうとは思わない」
ルーピンは短く答えた。それからガランとした玄関ホールを見回し、声をひそめて言った。
「何年も前にフィルチさんがこの地図を没ぼっ収しゅうしたことを、私はたまたま知っているんだ。そう、私はこれが地図だということを知っている」
ハリーとロンの驚いたような顔を前に、ルーピンは話した。
「これがどうやって君のものになったのか、私は知りたくはない。ただ、君がこれを提てい出しゅつしなかったのには、私は大いに驚いている。先日も、生徒の一人がこの城の内部情じょう報ほうを不用意に放ほうっておいたことで、あんなことが起こったばかりじゃないか。だから、ハリー、これは返してあげるわけにはいかないよ」
ハリーはそれを覚悟かくごしていた。しかも、聞きたいことがたくさんあって、抗議こうぎをするどころではなかった。
「スネイプは、どうして僕がこれを製せい作さく者しゃから手に入れたと思ったのでしょう?」
「それは……」ルーピンは口ごもった。
「それは、この地図の製作者だったら、君を学校の外へ誘さそい出したいと思ったかもしれないからだよ。連中にとって、それがとてもおもしろいことだろうからね」
「先生は、この人たちをご存知ぞんじなんですか?」ハリーは感心して尋たずねた。
「会ったことがある」ぶっきらぼうな答えだった。ルーピンはこれまでに見せたことがないような真しん剣けんな眼差まなざしでハリーを見た。
「ハリー、この次は庇かばってあげられないよ。私がいくら説せっ得とくしても、君が納なっ得とくして、シリウス・ブラックのことを深しん刻こくに受け止めるようにはならないだろう。しかし、吸魂鬼ディメンターが近づいた時に君が聞いた声こそ、君にもっと強い影えい響きょうを与えているはずだと思ったんだがね。君のご両親は、君を生かすために自みずからの命を捧ささげたんだよ、ハリー。それに報むくいるのに、これではあまりにお粗末そまつじゃないか――たかが魔法のおもちゃ一袋のために、ご両親の犠牲ぎせいの賜たま物ものを危険きけんにさらすなんて」
ルーピンが立ち去った。ハリーはいっそう惨みじめな気持になった。スネイプの部屋にいた時でさえ、こんな惨めな気持にはならなかった。ハリーとロンはゆっくりと大だい理り石せきの階段を上った。隻せき眼がんの魔女像のところまで来た時、ハリーは「透とう明めいマント」のことを思い出した。――まだこの下にある。しかし、取りに降おりる気にはなれなかった。
「僕が悪いんだ」ロンが突とつ然ぜん口を利いた。
「僕ぼくが君に行けって勧すすめたんだ。ルーピン先生の言うとおりだ。バカだったよ。僕たち、こんなこと、すべきじゃなかった――」
ロンが口を閉じた。二人は警護けいごのトロールが往いき来している廊下ろうかにたどり着いた。すると、ハーマイオニーがこちらに向かって歩いてきた。ハーマイオニーをひと目見たとたん、もう事件のことは聞いたに違いないと、ハリーは確かく信しんした。ハリーは心臓がドサッと落ち込こむような気がした。――マクゴナガル先生にもう言いつけたのだろうか?
「さぞご満まん悦えつだろうな?」
ハーマイオニーが二人の真ん前で足を止めた時、ロンがぶっきらぼうに言った。
「それとも告げ口しにいってきたところかい?」
「違うわ」ハーマイオニーは両手で手紙を握にぎりしめ、唇くちびるをわなわなと震ふるわせていた。
「あなたたちも知っておくべきだと思って……ハグリッドが敗訴はいそしたの。バックビークは処しょ刑けいされるわ」
“你认识他们吗?”哈利问,一脸迫切的神情。
“我们见过面。”他简短地说。他看着哈利的神情比以前任何时候都要严肃。“别指望我再替你掩饰了,哈利。我不能让你认真对待小天狼星布莱克。但是我原来以为摄魂怪走近你时,你听到的内容会对你产生更大影响的。你的双亲牺牲了自己让你活下来,哈利。这样报答他们可不好—— 用他们的牺牲换一口袋魔术把戏。”
他走开了,留下哈利在那里,哈利心里不是滋味,比他在斯内普办公室里的时候还要难过。他慢慢地和罗恩一起走上那道大理石楼梯。哈利走过那独眼女巫雕像的时候,他想起了那件隐形衣—— 衣服还在那里,但他不敢去拿。
“是我的错,”罗恩突然说,“我劝你去的。卢平说得对,这样做是愚蠢的,我们不该这样—— ” 他不说了,他们已经走到有保安巡逻的走廊,赫敏正向他们走过来。哈利看了她一眼,就断定她已经听说了发生的事。他的心直跳—— 她告诉麦格教授了吗?
“来幸灾乐祸吗?”罗恩气冲冲地说,这时她已经站在他们面前了。“要不然就是你刚刚告发了我们?”
“没有。”赫敏说。她手里拿着一封信,嘴唇在颤抖。“我原以为你们应该知道......海格官司打输了。巴克比克要被执行死刑了。”