怒涛どとうのような歓かん声せいの中、選手がピッチに出ていった。観かん衆しゅうの四分の三は真紅しんくのバラ飾りを胸につけて、グリフィンドールのシンボルのライオンを描いた真紅の旗を振るか、「行け! グリフィンドール!」とか「ライオンに優ゆう勝しょう杯はいを!」などと書かれた横おう断だん幕まくを打ち振っている。しかし、スリザリンのゴール・ポストの後ろでは、二百人の観衆が緑のローブを着て、スリザリンの旗に、シンボルの銀色の蛇へびをきらめかせていた。スネイプ先生は一番前列に陣取じんどり、みんなと同じ緑をまとい、暗い笑みを漂ただよわせていた。
「さあ、グリフィンドールの登場です!」
いつものように解かい説せつ役やくのリー・ジョーダンの声が響いた。
「ポッター、ベル、ジョンソン、スピネット、ウィーズリー、ウィーズリー、そしてウッド。ホグワーツに何年に一度出るか出ないかの、ベスト・チームと広く認められています――」
リーの解説はスリザリン側からの、嵐あらしのようなブーイングでかき消された。
「そして、こちらはスリザリン・チーム。率ひきいるはキャプテンのフリント。メンバーを多少入れ替えたようで、腕うでよりデカさを狙ねらったものかと――」
スリザリンからまたブーイングが起こった。しかし、ハリーはリーの言うとおりだと思った。スリザリン・チームでは、どう見てもマルフォイが一番小さく、あとは巨大な猛も者さばかりだ。
「キャプテン、握あく手しゅして!」フーチ先生が合図あいずした。
フリントとウッドが歩みよって互いの手をきつく握にぎりしめた。まるで互いの指をへし折おろうとしているかのようだった。
「箒ほうきに乗って!」
フーチ先生の号ごう令れいだ。
「さーん……にー……いちっ!」