ハリーは興こう奮ふんでドキッとした。スニッチを見つけたのだ。――グリフィンドールの三本のゴール・ポストの一本の根元ねもとで、微かすかに光っている。――まだつかむわけにはいかない。しかしもし、マルフォイが気づいたら……。
急に何かに気を取られたふりをして、ハリーはファイアボルトの向きを変え、スピードを上げてスリザリンのゴールに向かって飛んだ。うまくいった。マルフォイは、ハリーがそっちにスニッチを見つけたと思ったらしく、あとをつけて疾しっ走そうしてきた……。
ヒューッ。
ブラッジャーがハリーの右耳をかすめて飛んでいった。スリザリンのデカ物ぶつビーター、デリックが打った球だ。
ヒューッ。
もう一個のブラッジャーがハリーの肘ひじをこすった。もう一人のビーター、ボールが迫せまっていた。
ハリーは、ボールとデリックが棍こん棒ぼうを振り上げ、自分めがけて飛んでくるのをちらりと目にした――。
ぎりぎりのところで、ハリーはファイアボルトを上に向けた。ボールとデリックがボクッといやな音を立てて正面衝しょう突とつした。
「ハッハーだ!」
スリザリンのビーター二人が、頭を抱かかえてふらふらと離はなれるのを見て、リー・ジョーダンが叫さけんだ。
「お気の毒さま! ファイアボルトに勝てるもんか。顔を洗って出直せ! さて、またまたグリフィンドールのボールです。ジョンソンがクアッフルを手にしています――フリントがマークしています――アンジェリーナ、やつの目を突ついてやれ!――あ、ほんの冗じょう談だんです。先生。冗談ですよ――ああ、だめだ――フリントがボールを取りました。フリント、グリフィンドールのゴールめがけて飛びます。それっ、ウッド、ブロックしろ!――」
しかし、フリントが得点し、スリザリン側から大きな歓かん声せいが巻き起こった。リーがさんざん悪あく態たいをついたので、マクゴナガル先生は魔法のマイクをリーからひったくろうとした。
「すみません、先生。すみません! 二度と言いませんから! さて、グリフィンドール、三〇対一〇でリードです。ボールはグリフィンドール側――」