試合は、ハリーがいままで参加した中で最悪の泥どろ仕じ合あいとなった。グリフィンドールが早はや々ばやとリードを奪うばったことで頭にきたスリザリンは、たちまち、クアッフルを奪うためには手段を選ばない戦法に出た。ボールはアリシアを棍こん棒ぼうで殴なぐり、「ブラッジャーと間違えた」と言い逃のがれようとした。仕返しかえしに、ジョージ・ウィーズリーがボールの横っ面つらに肘ひじ鉄てつを食らわせた。フーチ先生は両チームからペナルティを取り、ウッドが二度目のファイン・プレーで、スコアは四〇対一〇、グリフィンドールのリードだ。
スニッチはまた見えなくなった。ハリーは試合の渦か中ちゅうから離れて舞まい上がり、スニッチを探したが、マルフォイはまだハリーに密みっ着ちゃくしていた。――ここでグリフィンドールがいったん、五〇点の差をつけたら……。
ケイティが得点し、五〇対一〇。スリザリンが得点の仕返しをしかねないと、フレッドとジョージ・ウィーズリーが棍棒を振り上げてケイティの周まわりを飛び回った。ボールとデリックが双子ふたごのいないすきを突き、ブラッジャーでウッドを狙ねらい撃うちした。二個とも続けてウッドの腹に命中し、ウッドはウッと言って宙ちゅう返がえりし、辛かろうじて箒ほうきにしがみついた。
フーチ先生が怒りでぶっとんだ。
「クアッフルがゴール区域くいきに入っていないのに、キーパーを襲おそうとは何事ですか!」
フーチ先生がボールとデリックに向かって叫さけんだ。
「ペナルティ・ゴール! グリフィンドール!」
アンジェリーナが得点。六〇対一〇。その直後、フレッド・ウィーズリーがブラッジャーをワリントンにめがけて強きょう打だし、ワリントンが持っていたクアッフルを取り落とし、それをアリシアが奪うばってゴールを決めた。七〇対一〇。
観かん客きゃく席せきではグリフィンドール応おう援えん団だんが声をからして叫さけんでいる。――グリフィンドール六〇点のリード。ここでもしハリーがスニッチをつかめば、優ゆう勝しょう杯はいはいただきだ。他の選手より一段高いところで、マルフォイにマークされながらピッチを飛び回っているハリーを、何百という目が追っている。ハリーはその視線しせんを感じた。