そして、見つけた。スニッチが自分の六、七メートル上でキラキラしているのを、ハリーは見つけた。
ハリーはスパートをかけた。耳元で風が唸うなった。ハリーは手を伸ばした。ところが、急にファイアボルトのスピードが落ちた――。
ハリーは愕がく然ぜんとしてあたりを見回した。マルフォイが前に身を乗り出してファイアボルトの尾を握にぎりしめ、引ひっ張ぱっているではないか。
「こいつーっ」
怒りのあまり、ハリーはマルフォイを殴りたかったが、届かない。マルフォイはファイアボルトにしがみつきながら息を切らしていたが、目だけはランランと輝かがやいていた。マルフォイの狙ねらいどおりになった。――スニッチはまたしても姿をくらましたのだ。
「ペナルティー! グリフィンドールにペナルティ・ゴール! こんな手口てぐちは見たことがない!」
フーチ先生が、金切かなきり声ごえをあげながら飛んできた。マルフォイは自分のニンバス2001の上にするすると戻もどるところだった。
「このゲス野郎!」
リー・ジョーダンがマクゴナガル先生の手の届かないところへと躍おどり出ながら、マイクに向かって叫さけんでいる。
「このカス、卑ひ怯きょう者もの、この――!」
マクゴナガル先生はリーのことを叱しかるどころではなかった。自分もマルフォイに向かって拳こぶしを振り、帽子ぼうしは頭から落ち、怒り狂って叫んでいた。
アリシアがペナルティ・ゴールを狙ったが、怒りで手元てもとが狂い、一、二メートルはずれてしまった。グリフィンドール・チームは乱れて集しゅう中ちゅう力りょくを失い、逆にスリザリン・チームはマルフォイがハリーに仕し掛かけたファウルで活気づき、有う頂ちょう天てんだった。
「スリザリンのボールです。スリザリン、ゴールに向かう――モンタギューのゴール――」リーが呻うめいた。「七〇対二〇でグリフィンドールのリード……」
今度はハリーがマルフォイをマークした。ぴったり張はりついたので、互いの膝ひざが触ふれるほどだった。マルフォイなんかを絶ぜっ対たいにスニッチに近づかせてなるものか……。
「どけよ、ポッター!」
ターンしようとしてハリーにブロックされ、マルフォイがイライラして叫んだ。