「ハーマイオニー?」
ロンがおずおずと話しかけた。近ごろ、ハーマイオニーは邪魔じゃまされるとすぐ爆ばく発はつするからだ。
「あの――この時間表、写し間違いじゃないのかい?」
「なんですって?」
ハーマイオニーはきっとなって予定表を取り上げ、確かめた。
「大だい丈じょう夫ぶよ」
「どうやって同時に二つのテストを受けるのか、聞いてもしょうがないよね?」
ハリーが聞いた。
「しょうがないわ」にべもない答えだ。「あなたたち、私の『数すう秘ひ学がくと文ぶん法ぽう学』の本、見なかった?」
「ああ、見ましたとも。寝る前の軽い読書のためにお借りしましたよ」
ロンがちゃかしたが、至極しごく小さな声だった。ハーマイオニーは本を探して、テーブルの上の羊よう皮ひ紙しの山をガサゴソ動かしはじめた。その時、窓辺まどべで羽音がしたかと思うと、ヘドウィグが嘴くちばしにしっかりとメモをくわえて舞まい降おりてきた。
「ハグリッドからだ」
ハリーは急いでメモを開いた。
「バックビークの控こう訴そ裁さい判ばん――六日に決まった」
「試験しけんが終わる日だわ」ハーマイオニーが、「数かず占うらない」の教科書をまだあちこち探しながら言った。
「みんなが裁判のためにここにやってくるらしい」ハリーは手紙を読みながら言った。
「魔ま法ほう省しょうからの誰かと――死刑しけい執しっ行こう人にんが」
ハーマイオニーが驚いて顔を上げた。
「控訴に死刑執行人を連れてくるの! それじゃ、まるで判はん決けつが決まってるみたいじゃない!」
「ああ、そうだね」ハリーは考え込こんだ。
「そんなこと、させるか!」ロンが叫さけんだ。「僕ぼく、あいつのためにながーいこと資し料りょうを探したんだ。それを全部無む視しするなんて、そんなことさせるか!」