「要するに、『透明マント』を着ていても、『忍しのびの地ち図ず』に表れるということだよ。私は君たちが校庭を横切り、ハグリッドの小屋に入るのを見ていた。二十分後、君たちはハグリッドのところを離はなれ、城に戻もどりはじめた。しかし、今度は君たちのほかに誰かが一いっ緒しょだった」
「え?」ハリーが言った。「いや、僕ぼくたちだけだった!」
「私は目を疑ったよ」
ルーピンはハリーの言葉を無む視しして、往ったり来たりを続けていた。
「地図がおかしくなったかと思った。あいつがどうして君たちと一緒なんだ?」
「誰も一緒じゃなかった!」ハリーが言った。
「すると、もう一つの点が見えた。急速に君たちに近づいている。シリウス・ブラックと書いてあった。……ブラックが君たちにぶつかるのが見えた。君たちの中から二人を『暴あばれ柳やなぎ』に引きずり込むのを見た――」
「一人だろ!」ロンが怒ったように言った。
「ロン、違うね」ルーピンが言った。「二人だ」
ルーピンは歩くのをやめ、ロンを眺ながめ回した。
「ネズミを見せてくれないか?」ルーピンは感情を抑おさえた言い方をした。
「なんだよ? スキャバーズに何の関係があるんだい?」
「大ありだ」ルーピンが言った。
「頼む。見せてくれないか?」
ロンはためらったが、ローブに手を突っ込こんだ。スキャバーズが必死ひっしにもがきながら現れた。逃げようとするのを、ロンはその裸はだかの尻尾しっぽを捕つかまえて止めた。クルックシャンクスがブラックの膝ひざの上で立ち上がり、低く唸うなった。
ルーピンがロンに近づいた。じっとスキャバーズを見つめながら、ルーピンは息を殺しているようだった。
「なんだよ?」ロンはスキャバーズを抱きしめ、脅おびえながら同じことを聞いた。
「僕のネズミがいったい何の関係があるって言うんだ?」
「それはネズミじゃない」突とつ然ぜんシリウス・ブラックのしわがれ声がした。
「どういうこと――こいつはもちろんネズミだよ――」
「いや、ネズミじゃない」ルーピンが静かに言った。
「こいつは魔法使いだ」
「『動物もどきアニメーガス』だ」ブラックが言った。
「名前はピーター・ペティグリュー」