「でも、それがどうしてあなたを救うことになったの?」
ハーマイオニーが不思議そうに聞いた。
「人間だと私と一いっ緒しょにいられない。だから動物として私につき合ってくれた。狼おおかみ人にん間げんは人間にとって危険きけんなだけだからね。三人はジェームズの『透とう明めいマント』に隠れて、毎月一度こっそり城を抜け出した。そして、変身した。……ピーターは一番小さかったので、『暴あばれ柳やなぎ』の枝攻こう撃げきをかいくぐり、下に滑すべり込こんで、木を硬こう直ちょくさせる節ふしに触さわった。それから三人でそっと柳の下にあるトンネルを降おり、私と一緒になった。友達の影えい響きょうで、私は以前ほど危険ではなくなった。体はまだ狼のようだったが、三人と一緒にいる間、私の心は以前ほど狼ではなくなった」
「リーマス、早くしてくれ」
殺気さっき立った凄すさまじい形ぎょう相そうでスキャバーズを睨ねめつけながら、ブラックが唸うなった。
「もうすぐだよ、シリウス。もうすぐ終わる。……そう、全員が変身できるようになったので、わくわくするような可能性が開けた。ほどなく私たちは夜になると『叫さけびの屋敷やしき』から抜け出し、校庭や村を歩き回るようになった。シリウスとジェームズは大型の動物に変身していたので、狼人間を抑よく制せいできた。ホグワーツで、私たちほど校庭やホグズミードの隅すみ々ずみまで詳くわしく知っていた学生はいないだろうね……こうして、私たちが『忍しのびの地ち図ず』を作り上げ、それぞれのニックネームで地図にサインした。シリウスはパッドフット、ピーターはワームテール、ジェームズはプロングズ」
「どんな動物に――?」
ハリーが質問しかけたが、それを遮さえぎって、ハーマイオニーが口を挟はさんだ。
「それでもまだとっても危険だわ! 暗い中を狼人間と走り回るなんて! もし狼人間がみんなをうまく撒まいて、誰かに噛かみついたらどうなったの?」