「スネイプ先生は私たちと同期なんだ。私が『闇やみの魔ま術じゅつの防ぼう衛えい術じゅつ』の教きょう職しょくに就くことに、先生は強きょ硬うこうに反対した。ダンブルドアに、私は信用できないと、この一年間言い続けていた。スネイプにはスネイプなりの理由があった。……それはね、このシリウスが仕し掛かけた悪戯いたずらで、スネイプが危あやうく死にかけたんだ。その悪戯には私もかかわっていた――」
ブラックが嘲あざけるような声を出した。
「当然の見せしめだったよ」ブラックがせせら笑った。
「こそこそ嗅かぎ回って、我われ々われのやろうとしていることを詮せん索さくして……。我々を退たい学がくに追い込みたかったんだ……」
「セブルスは、私が月に一度どこに行くのか非常に興きょう味みを持った」
ルーピンは、ハリー、ロン、ハーマイオニーに向かって話し続けた。
「私たちは同学年だったんだ。それに――つまり――ウム――お互いに好きになれなくてね。セブルスはとくにジェームズを嫌っていた。妬ねたみ、それだったと思う。クィディッチ競きょう技ぎのジェームズの才能をね。……とにかく、セブルスはある晩ばん、私が校医のポンフリー先生と一いっ緒しょに校庭を歩いているのを見つけた。ポンフリー先生は私の変身のために『暴あばれ柳やなぎ』のほうに引いん率そつしていくところだった。
シリウスが――その――からかってやろうと思って、木の幹みきのコブを長い棒で突つけば、あとをつけて穴に入ることができるよ、と教えてやった。そう、もちろん、スネイプは試してみた。――もし、スネイプがこの屋敷やしきまでつけてきていたなら、完全に人じん狼ろうになりきった私に出会っていただろう。――しかし、君のお父さんが、シリウスのやったことを聞くなり、自分の身の危険きけんも顧かえりみず、スネイプのあとを追いかけて、引き戻もどしたんだ。……しかし、スネイプは、トンネルの向こう端はしにいる私の姿をちらりと見てしまった。ダンブルドアが、けっして人に言ってはいけないと口止めした。だが、その時から、スネイプは私が何者なのかを知ってしまった……」
「だからスネイプはあなたが嫌いなんだ」
ハリーは考えながら言った。
「スネイプはあなたもその悪ふざけにかかわっていたと思ったわけですね?」
「そのとおり」
ルーピンの背後の壁かべのあたりから、冷たい嘲あざけるような声がした。
セブルス・スネイプが「透とう明めいマント」を脱ぎ捨て、杖つえをぴたりとルーピンに向けて立っていた。