こんな奇き妙みょうな群れに加わったのはハリーにとって初めてだった。クルックシャンクスが先頭に立って階段を下り、そのあとをルーピン、ペティグリュー、ロンが、まるでムカデ競走のようにつながって下りた。シリウスがスネイプの杖つえを使ってスネイプ先生を宙ちゅう吊づりにし、不ぶ気き味みに宙を漂ただようスネイプ先生の爪つま先さきが、階段を一段下りるたびに階段にぶつかった。ハリーとハーマイオニーがしんがりだった。
トンネルを戻もどるのがひと苦労だった。ルーピン、ペティグリュー、ロンの組は横向きになって歩かざるをえなかった。ルーピンはペティグリューに杖を突きつけたままだ。ハリーからは、三人が一いち列れつになって、歩きにくそうにトンネルを横這よこばいしていくのが見えた。先頭は相変あいかわらずクルックシャンクスだ。
ハリーは、シリウスのすぐ後ろを歩いていた。スネイプがシリウスによって宙吊りにされたまま、三人の前を漂っていたが、ガクリと垂たれた頭が、低い天てん井じょうにぶつかってばかりいた。ハリーは、シリウスがわざと避よけないようにしているような気がした。
「これがどういうことなのか、わかるかい?」
トンネルをのろのろと進みながら、出し抜けにシリウスがハリーに話しかけた。
「ぺティグリューを引き渡わたすということが」
「あなたが自由の身になる」
「そうだ……」
シリウスが続けた。
「しかし、それだけではない。――誰かに聞いたかも知らないが――わたしは君の名な付づけ親おやでもあるんだよ」
「ええ、知っています」
「つまり……君の両親が、わたしを君の後こう見けん人にんに決めたのだ」
シリウスの声が緊きん張ちょうした。
「もし自分たちの身に何かあればと……」
ハリーは次の言葉を待った。シリウスの言おうとしていることが、自分の考えていることと同じだったら?
「もちろん、君がおじさんやおばさんとこのまま一いっ緒しょに暮くらしたいというなら、その気持はよくわかるつもりだ。しかし……まあ……考えてくれないか。わたしの汚名おめいが晴れたら……もし君が……別の家族がほしいと思うなら……」シリウスが言った。
ハリーの胸の奥で、何かが爆ばく発はつした。