校庭はすでに真っ暗だった。明りといえば、遠くに見える城の窓からもれる灯ひだけだ。無言で、全員が歩きだした。ペティグリューは相変あいかわらずゼイゼイと息をし、時とき折おりヒーヒー泣いていた。
ハリーは胸が一いっ杯ぱいだった。ダーズリー家けを離はなれるんだ。父さん、母さんの親友だったシリウス・ブラックと一いっ緒しょに暮らすんだ。……ハリーはぼーっとした……ダーズリー一家に、テレビに出ていたあの囚しゅう人じんと一緒に暮らすと言ったら、どうなるかな!
「ちょっとでも変なまねをしてみろ、ピーター」
前のほうで、ルーピンが脅おどすように言った。ペティグリューの胸に、ルーピンの杖つえが横から突きつけられていた。
みんな無言でひたすら校庭を歩いた。窓の灯ひが徐じょ々じょに大きくなってきた。スネイプは顎あごをガクガクと胸にぶっつけながら、相変わらず不ぶ気き味みに宙を漂ただよい、シリウスの前を移動していた。すると、その時――。
雲が切れた。突とつ然ぜん校庭にぼんやりとした影かげが落ちた。一いっ行こうは月つき明あかりを浴あびていた。
スネイプが、ふいに立ち止まったルーピン、ペティグリュー、ロンの一いち団だんにぶつかった。シリウスが立ちすくんだ。シリウスは片手をさっと上げてハリーとハーマイオニーを制止せいしした。
ハリーは、ルーピンの黒い影のような姿を見た。その姿は硬こう直ちょくしていた。そして、手足が震ふるえだした。
「どうしましょう――あの薬を今夜飲んでないわ! 危険きけんよ!」
ハーマイオニーが絶句ぜっくした。
「逃げろ」
シリウスが低い声で言った。
「逃げろ! 早く!」
しかし、ハリーは逃げなかった。ロンがペティグリューとルーピンにつながれたままだ。ハリーは前に飛び出した。が、シリウスが両りょう腕うでをハリーの胸に回してぐいと引き戻もどした。
「わたしに任まかせて――逃げるんだ!」
“只要走错一步,彼得。”卢平在前面威胁着说,他的魔杖仍旧从侧面指着小矮星彼得的胸膛。
“快跑,”布莱克低声说。“快跑!马上!”但是哈利不能跑。罗恩和小矮星彼得还有卢平铐在一起。他往前跳.但是布莱克抓住他的胸部把他推了回去。“让我来处理—— 快跑!”